soujiの長文用

@souji04261 が140字で足りない時に使います。

大人向け数学教室をやるモチベ

なんで始めようとしたの?って聞かれたので書きました。

 

単に大人に数学を教えるだけなら、すでにある数学教室に所属することでも可能です。
前職を退職したあと、一度社内見学もさせてもらいました。
結局所属せず自分で起ち上げた方が楽だと思いました。
大人向けの数学教室の場合、数学を教える能力の次に求められるのは(もしかしたらそっちの方が大事かもしれないけど)、個人個人に合わせて学習を進めていくプランを練ってあげることです。
でもこの能力を伸ばすための補助は受けれないと思いました。
もちろん教室側はコンスタントにマッチングしてくれるので経験を積むには良いのですが、それは個人でも出来るのではないかと。
あとどうしてもお客さんが支払った代金の何割かを受け取るわけですが、私に教室側から3000円支払われるならばお客さんはその何倍もの金額を払っていることになり、正直全く未経験の自分はそんな自信はありません。
なので自分で起ち上げて自分の適正価格の確認しながら進めていきたいと思いました。
あとはそこまで多くのお客さんを取る気はないし(時間的にキツい)、隙間時間でやることを考えると個人の方が動きやすいのではと考えました。

 

もう1つの理由はスキルアップ
数学を他人と共有するための方法は様々で、形式だけでも、個人授業・多人数授業、ゼミなどなど。
そして参加者の数学に対する興味、経験も色々とこちらは選べます。
現在、プレゼンイベントをやっているので、様々な背景の人に一方的にプレゼンするスキルは付いていきそうなんですが、個人に寄り添って数学を楽しんでもらう能力を付ける機会も欲しいと思いました。
どうも学生時代から数学を使ってコミュニケーションを取っていくのが下手だなと感じていたので、その短所をなんとかしたい。
仮に将来全く別の数学との関わり方をすることになったとしても、この経験は役に立つはずです。
仮に自分よりも社会経験が豊富な方とやりとりできればサラリーマンに戻ったとしても役に立ちそう。

 

最後は自分の学問に対する態度から。
最近Twitterではつぶやいているんですが、
(私がその立場を担うかどうか、そしてそれに向いているかどうかは別として)自分以外の数学能力を底上げするためには大人に数学を教えた方が早いし効果的だと思います。
ここでいう数学を教えるとは、数学書が読めるようにするということではなく、
数学に対して(ひいては学問全体に対して)良い見方をしてくれるようになることです。
別に人間全員が数学を学ぶ必要はないと思います。

それよりも面白いことだってたくさんあります。
ただ他人の数学への選択肢を減らすようなことだけはあってはならないと思います。
経済的に弱者である子供が数学に興味をもったとして、その興味を伸ばせられるのは大人だけです。
その大人が「儲からないから」「将来性がないから」「地味だから」とかそんな理由で阻害しなければ勝手に子供は伸びていきませんかね。楽観的でしょうか。
「私は数学をやろうとは思わないけど、価値のあることではあるから子供には好きなだけやらせてあげよう」という人の増加が最後には良い未来に繋がっていきそうだと考えています。
またそのような引いた立場でもいいですし、もし本格的にやりたくなった人への窓口も多いに越したことはないですよね。
現在様々な取り組みがありますが、私も参加したくなりました。
私が出来るペースで関わっていきたいと思っています。

 

多分これからいろんなことに挑戦していきますが、出来る範囲で出来ることを増やしていかないといけないなと。
今は精神的にはかなり余裕があるので、真剣に楽しみながらいろんな人とどんどん楽しいことやっていきたいです。
お酒飲むより楽しいこと見つけられたらいいな。

不完全性定理のプレゼンにチャレンジしますた

さる2018年5月、裏難波大學開講日という、立ちのみ屋で学問的プレゼンをするというよくわかんないイベントで数学の「不完全性定理」についてプレゼンしてきました。
数学についてプレゼンする機会はたくさんありましたが、数学の中でもTwitterとかで度々炎上の火種となるこの定理をメインテーマにしてプレゼンするのは今回が初めてでした。
一通りプレゼンを終えて感想をまとめてみたいと思いました。
思ったのは5月でしたが、なんやかんや(便利な言葉です)あって7月の今になって公開することになりました。

そもそも「裏難波大學開講日」とは何なんだというのは公式HPか、誰かさんが開催意図を書いた無駄に長いブログがあるらしいのでそちらをどうそ。


動機


4月のプレゼンのテーマは無限集合の濃度についてでした。
サラリーマン時代にゲリラ的に行った社内数学プレゼンイベントで45分かけて社長も含めたいろんな方相手にプレゼンしたネタです。
無限集合同士でも濃度(要素の個数)を比較することが出来る場合があって、しかも連続体仮説って面白いのもあるよ!みたいな内容です。
これを社内でやったのは、その会社が無限行のデータベースを扱っていたからではなく、単に私が得意なネタでプレゼンしたかっただけです。
一応社内の非数学科(まぁ数学科卒は私一人でしたが)、または理系文系関係なくいろんな方に聞いてもらって、評判は良かったです(まぁ面と向かって悪口は言わないでしょうが)。
4月にこのネタ、そしてスライドを使ってしまったことで、5月にはまた違うネタを用意する必要がありました。
もちろん難しさとか面白さを抜きにすればいくらでもネタは用意できるでしょうが、私個人の経験になるようなテーマはないかと悩んでました。
そのとき、今まで自分の不勉強を理由にしてテーマにしなかった不完全性定理を選びました。
不勉強以外にも理由があって、これが先にも話した通り可燃性の高いテーマっていうのもあります。

非数学系、数学基礎論ないし数理論理学に関わってない人へ書くと、なぜこの定理がよく話題になるかというといえば、よく誤用されるからです。
単に定理の主張を間違えているだけなら、理解してないことをいじりたくて仕方ない数学関係者以外はほっておくのですが、この定理が数学の定理であることを知っているにも関わらず関係のない話題の中に登場させ、その本人の主張の確からしさをあげるために利用する人たちが後を絶たないからです。
一人が変な誤用をすれば、その定理の証明を眺めることもなく、また別の変な誤用を生みます。
この定理の誤用が、日本内外問わずたくさん見かけることができます(らしいです)。
何らかの理由で、その誤用を放置することが出来ず、時々SNS上で炎上するわけですね。
厄介なことに炎上の火元にいる人が、自身の大きい影響力を知ってか知らずかこの定理に関する(数学者から見れば)テキトーな主張を声を大にして言うもんですから
同じ学問の世界にいる数学者としては余計に気になるのかもしれません。

ふと気になったのですが、おそらく数学以外の学問では日常茶飯事なのかもしれないなと思いました。
単に数学界隈がこれで盛り上がるのは、他に目立つ誤用が少なく、よく目につくからなのかなと。

という訳で不勉強な自分がこれをテーマにプレゼンしたとして
・誤用の手助けをしないかどうか
・単純にプレゼンとして面白くなるか
をずっと悩んでいました。
しかしやらなくては怠け者の自分はいつまで経っても勉強しないだろうということで、おそるおそるプレゼンを作ってみることにしました。

何を意識したか


不完全性定理の対象は、人によって言い方は変わりますが「理論」「形式体系」で、それは数学的に定義された数学の対象になっています。
形式体系の具体例の中に数学と似たような能力を持つものがあります。そして定理の中ではある程度能力のある形式体系になりたってしまうことがらを主張しているに過ぎません。
そしてそのなりたってしまうことがらは、定理の証明までにあった歴史の流れから、悲劇的な結果として捉えれます(たしかに一部の数学者にとっては悲劇的な結末だったかもしれませんが)。
よって成立してしまうその事柄をその悲劇から限界と捉え、そして対象を勝手に拡大させて「数学には○○といった限界がある」と解釈してしまうみたいです。
私自身誤用の成立方法に詳しくないので説明はへたくそかもしれませんが、要は定理の引用の際に一切数学的でない主張をしているということになります。
詳しくは、私もプレゼン作りの際に参考にした以下のテキストを見てください。

数学ガール/ゲーデル不完全性定理』(結城浩

https://www.amazon.co.jp/%E6%95%B0%E5%AD%A6%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%AB-%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%AB%E3%81%AE%E4%B8%8D%E5%AE%8C%E5%85%A8%E6%80%A7%E5%AE%9A%E7%90%86-%E6%95%B0%E5%AD%A6%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-3-%E7%B5%90%E5%9F%8E/dp/4797352965

ゲーデルの定理――利用と誤用の不完全ガイド 』(トルケル・フランセーン (著), 田中 一之 (翻訳))

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%90%86%E2%80%95%E2%80%95%E5%88%A9%E7%94%A8%E3%81%A8%E8%AA%A4%E7%94%A8%E3%81%AE%E4%B8%8D%E5%AE%8C%E5%85%A8%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89-%E3%83%88%E3%83%AB%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%B3/dp/4622075695

不完全性定理』(菊池 誠)

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 『コンピュータは数学者になれるのか? -数学基礎論から証明とプログラムの理論へ-』(照井 一成)

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とくに数学ガールの方は、最終章でこの定理について非専門家と同じように誤解し、それを数学者のような立場からその理解を正す登場人物同士の会話があります。
これの部分だけでも、この本を買う価値はあります。

 

この定理のことをよく理解してもらうには
・定理証明までの学者たちが持っていた狙い
不完全性定理は悲劇の終着点ではなく、現代数学の重要な道具であること
を慎重に伝えることが大切なのではないと考えました。
定理証明までの学者たちの狙いが分かれば決して数学者たちは数学の限界を証明したかったわけではないと思ってもらえるでしょうし、
不完全性定理が重要な道具であることを伝えれば、単なる悲劇の立役者でないことも分かってもらえるのはないかと考えました。
ただ形式体系を説明する段階で色々な定義を出す必要があるのですが、それ全部をだしていてはいくら時間があっても足りません。
なので必要な定義を全て述べるようなことはできませんでした。
ただどの段階でも、誤用の入り込む余地がないくらい数学的に定義されていることを協調しました。
また「完全」「独立」「無矛盾」といった誤解の種になりやすい定義については、数学ガールにならって辞書的な意味に引きずられないよう注意し、説明にある程度時間をかけることにしました。

 

このプレゼンの対象者は非数学系の方たちでした。
ということは、この定理の周りにある問題っていうのも知らない可能性が高いです。
そういった方々にどれくらいこの問題を話すかが一番悩みました。
例えば自分が何かのスポーツに興味を持ったとして、その面白さを伝えてくれる人がそのスポーツにいかにめんどくさいファンが多いかも同時に伝えてきたらどうでしょうか?
まぁそれもそのスポーツを構成する要因ならば伝えてくれてもいいのですが、私の立場からだとなんというかネガティブな伝え方しかできなさそうだなと。「こういう奴らがいるんですよ、困ったものですよね」って。


おそらく数学者は、個人個人がどのように数学を楽しむかに関しては寛容だと思います。
色々な数学的事実に、美しさを感じるのは自由です。
私個人はある数式が綺麗とも思ったこともないし、素数だからと言って無条件に盛り上がったりも出来ません。
不完全性定理の結果に対して個人的な数学感を添えて楽しむことも自由だと思います(それが数学を学ぶことの役には立たなさそうですが)。
専門家が人の数学の楽しみ方に文句を言っているときは、その人が自身の影響力を顧みず(大抵別の学問分野の専門家であることがあるので)、数学に対してなんら益の無い、むしろ損になるような主張を全世界に対して発言しているからではないでしょうか。
数学科の学生が行う営みは定義を知り、定理を証明していくものです。おそらく全数学者がそれが数学の王道な楽しみ方であると主張すると思います。
でも様々な人がいる中で、みんながみんな王道で楽しむ必要があるとも私自身は思いません。
運動神経が悪くても、TVゲームなどでサッカーを楽しむことはできます。
それを王道(実際にフィールドに出てボールを蹴る)でないからと言って馬鹿にする人はいないと思います。

 

よってプレゼンの〆は以下のようになりました。
「よくこの定理に関連して炎上することが多く、また悪意の有り無しは別にして誤用・誤解が多い。
もちろん不完全性定理をどのように楽しむかは個人の自由だと思う。
私が思う数学の一番の楽しみ方は、個人の感覚は一旦置き、定理の証明を紙とペンで進めていくことだと思う。
この定理は、そのような楽しみ方をするのに十分な内容を持っているし、この定理を正確に理解することでより数学の世界への理解は深まると思います」みたいな感じでした。

 

今回ほど最後のまとめのスライドに時間がかかったプレゼンも初めてでした。
いつもはテーマとなった数学概念について振り返って軽くまとめる程度でしたが、今回はプレゼン後のこの定理との関わり方も述べてますからね。
この定理の証明も追ったことがあるし、勉強会でも扱ったこともあったのですが、この定理の名前も知らなかったような人に向けて説明するのは良い経験になりました。
このイベント自体はこれからも続けていくので、このネタもまだまだ使用していきます。
その中でより分かりやすく誤解無く説明でき、かつ面白さを知ってもらうようなものにしていければと思います。


毎回、このイベントでプレゼンを作るたびに思うのは、自分が理解した話すの進め方と、人が面白いと思ってもらえる話の進め方は別ということ。
数学の学び方は、定義定理を積み上げていくことになりますが、プレゼンにおいては少しくらい無茶して崩すくらいの方がいいのかもしれません。
崩す加減を間違えると、面白くない数学啓蒙書のようなフワフワとして勉強した気にもならないものになる危険もありそうなので、そのさじ加減を極めることが、自分自身にとっても今後の課題になっていきそうです。

 

とりあえず次は誤用しにくい数学の定理を扱いたいです。
追記 事実このプレゼン以後のテーマは、無限帽子パズル、完全数といった(説明しやすいかは別として)扱いやすいテーマになりました。

いちロマンティストに密着(ロマ数プレゼン体験)

かなり前から下書きのままだったのだけれど、推敲する気になったのでやっと形になりました。

内容は、とあるイベントで(その時点までで)本気でプレゼンに臨んでみたというお話お話。
ネット上にはプレゼンター側、参加者側関係なく感想などを書いてあるものが少ないなと感じたので書いてみることにしました。
特にプレゼンター側に関しては貴重かなと思ってます。

参加したイベントは「ロマンティック数学ナイト」(以下「ロマ数」)というイベントです。
どういったイベントかはリンクを貼っておきます。

romanticmathnight.org


私自身は、何回も開催されているイベントのうちのたった一回のイベントで発表した身でしかありませんので、誤解を与えては申し訳ないのでもし初耳の方はまずそちらを見てみてください。
簡単に説明しますと、数学系に限ったプレゼン主体の交流系イベントで当初は都内のお酒を提供できるようなイベントスペースを貸し切り、プレゼンを聞きながら夜を楽しむといった趣旨でしたが、徐々に参加人数などが増えるにつれて、昼間にも開催されていました。
その後参加者に年齢制限を設けたり、性別を固定したりと参加者の様子は会によって異なりますが、大体は同じような形で開催されています。
主催は大人向けの数学教室の運営されている「和から株式会社」です。
基本東京をメインに開催されていて、そのイベントが大阪で開催されることになりました。
その情報を知りプレゼンターとして参加してみようと思ったところから物語は始まります。

参加動機

 

イベント参加時はまだサラリーマン(小さなパッケージベンダーのプログラマ)だったので、毎朝朝礼というものがあり、これは毎日1人ずつが簡単なスピーチをするというもので、オチは業務に繋がるようなものにすべしという暗黙のルールがありました。
どのようにオチをつけたのか忘れましたが、ロマ数というイベントを紹介し、ちょうど大阪開催されることを知った後だったので、無事に審査が通ればプレゼンターとして参加してみると社長含めてその時いた社員に話しました。
よって半ば朝礼のネタ作りとしてプレゼンしてみようと思いました。
その時点では申し込みをしただけで、プレゼンターとして受け入れてくれるとは確定してなかったので「受かったらいいな」程度でしたが、もし受かったら「単にプレゼンしてきたよ」だけでは朝礼の続編としても面白くないなと思い、もう少し動機を作ってみることにしました。

 

まず1つが目的・目標を持って臨むこと。
もちろんプレゼンする以上上記のことを意識するのは大切なんですが、どうも達成感のようなものがこれまでの多くのプレゼンの中で感じられていませんでした。
それは目標設定が曖昧だったからだと思います。
目標設定が曖昧だと気づいたのは内定者時代に教わった目標設定方法「SMART」でした。

bizhint.jp

これは目標設定する際に意識することをまとめ、その頭文字をとったもので、人によって定義は変わるのですが、
Specific(明確性) … 設定した目標は明確なものか
Measurable(計量性) … 目標達成率や進捗度を測定可能か
Assignable(割当設定) … 役割や権限を割り当てているか
Realistic(実現可能性) … 現実的な目標を設定しているか
Time-related(期限設定) … 目標達成に期限を設けているか

「A」と「R」はサイトや使用者(ビジネスマンなのかどうかとか)にとって変わるみたいですが、私の場合特に大事なのは「S」と「M」です。
例えば今までは何らかの数学分野を紹介する発表をするとき、単に「この分野を知らない人に上手く伝わればいいな」程度しか目標に出来ていなかったと思います。
これでは明確さに欠けますよね。もちろん初参加で初対面の人ばかりを相手にするプレゼンで明確な目標を作ることって難しいと思うのもあるんですが。
明確にするには「M」と組み合わせて数値目標にするのが良いと思います。
例えば「イベント進行の邪魔にならない」という消極的な目標をより明確化・測定可能化しようと思ったとき、
「プレゼンを発表予定時間の97%以内に終わらせる」とかしておけば、確かに進行を妨害してないし、自身のプレゼン時間を計っておけば測定可能ですよね。
なので、そのようなSMARTに則った目標を組み立てて実際に達成率を測定してみることにしました。

 

もう1つの動機は「非数学科、ひいては大学生以外に対してプレゼンしてみたい」というのがありました。
積極的にプレゼンイベントに足を運んだり、自分自身でプレゼンイベントを企画・運営してみたりと学生時代活動していましたが、よくよく考えてみると学生相手が多かったなと。またその専攻も数学系が大半でした。
参加しようとした今回のイベントは学生の比率は高いものの非学生の参加者も多く、数学に興味があればOKという敷居の低さから非数学科も多いと聞いてました。
なので動機に沿ったイベントということでプレゼンターとしての申し込みをすることにしました。

ちなみに100人を超えた人たちの前でプレゼンする経験も初めてだったので、これも良い機会だと考えてました。
部活の部長とかで100人以上を前にして何かを話すという経験はたくさんありましたが、何か話すことを事前に用意し聴講者も多様になる機会は初めてでしたし。

申し込みから目標設定まで

 

イベント開催日と会社の毎年恒例BBQ大会がもろ被りしてました。
イベントが難波で昼から15時くらいまで、BBQは二色の浜のヨットハーバー(社長がヨット好き)で昼から。
なので会社には遅れていくことを伝えておきました。
多分いつものようにたくさんお酒飲むだろうなと思っていたので遅れていくと少しは飲む量減らせれるかもという淡い期待も(裏切られたけど)。

申し込み段階でどのような内容のプレゼンをするのかを書く欄があり、どれにするか悩みました。
多いのは初等整数論系だと思ったので、そちらはナシ。

また事前に発表時間が短いことも知っていたので集合論系の話題も断念。
また申し込み段階で2か月前くらいだったので、プレゼン準備を考えても新規のネタを用意するのも難しいと判断。
よって修士時代の研究テーマ、無限帽子パズルを選定。これなら内容次第では5分でも収められると判断しました。

 

申し込みしてからn日後、申し込み時に書いた電話番号に電話がかかってきました。
内容は、もう少し具体的にプレゼン内容について教えてほしいというのと、過去のプレゼン経験などを聞かれました。
このとき電話をかけてきたのは「和から株式会社」の方で、イベント後にお話ししたさいに聞いたのは、この電話を通して顔も知らないプレゼンターについて探るためだったそうです。
非常に良いと思います。

通常のイベントよりも規模も大きく、集まる人が多様なのでイベントを成功させるためにも事前にプレゼンターについて知っておこうとするのは良い試みだと思いました。実際、自分が似たコンセプトのイベントをやったときも同様の事前調査をやってましたし。
たしか電話がかかってきたときは日曜のお昼くらいで、昼から酒を飲んで気分良くなってました。
電話がかかってきたときは知らない番号で、おそらくロマ数関係だろうなと思って電話に出るとその通りでした。
ここは「そちらのイベントにとって良いプレゼンをすること」をアピールすべきだと思い、プレゼンの難易度を聞かれた際には「過去の経験から如何様にでも難易度(数式の出る頻度とか)を調整できること」を特に主張しました。
これをアピールしたのは、こういった学問系プレゼンイベントにとって難易度調整は死活問題で一番主催側がコントロールの難しいことですから、それを主催側に合わせて難易度を調整、しかもその調整が絶妙(数学者が「簡単」といっても簡単でないことが多いように)なプレゼンターは重宝してくるはずだと。


こういったイベントでは、数学好きが聞きに来ることを意識しすぎて、つい難易度を上げたり、内容を多くしてしまうプレゼンターが多い傾向があるので、その点でも
いくらでも難易度を下げてくれる人(これで面白かったらなお良し)は貴重だと思います。
なので電話に出た瞬間から酔っていた頭が急に冴えて、ペラペラと上記のようなことをアピールして電話は終わりました。
ちなみにこの電話審査?で落ちたことも何名かはいたようです。理由としては電話でさえ上手く意思疎通が出来なければプレゼンを任せることは出来ないと判断されるということでしょうか。
やはり規模が大きなイベントになると、質を上げるための足切りもあるんだなと思いました。

 

そして電話から何日か経って、プレゼンターとして採用された旨のメールが届きました。
それから何日かして、発表順はトップバッターであることも教えられました(たしか採用とはタイムラグがあったはず)。

受かってから本格的に目標設定に移りました。
大枠は聴講者に帽子パズルに興味を持ってくれることとしましたが、もう少し具体化することに。
でもプレゼン内容に興味をもってくれたことをどう判断し測量すればいいだろうと悩みました。
プレゼンを聞いて笑ってくれた人を数えるとかは、少人数ならまだしもただでさえ難しいプレゼンをしているときに100人以上の同時に見て計測するのは不可能に近いしなぁ。
私の目がサーモグラフィーのように温度を見れるなら、関心を示したときに温度が上がる部位を見て、それがプレゼン前後で上昇した人を数えるとか。
冗談半分なものも含めて、どのように数値目標にするかは悩みました。
最終的には、以下の人数をイベント終了後3日間集計し合計が50人を超えることとしました。

  • 当日の参加者のツイートや他SNSをサーチして、ポジティブな感想を述べている人
  • 当日の歓談タイムで私のところに集まってくれた人
  • そのあとに私に自発的にコンタクトをとろうとしてくれた人

目標設定と前後して、ロマ数について調べていたら当日はTwitterハッシュタグを利用していました。
それを上手く使えば興味を持ってくれた人の集計に使えるのではないかと。あとはハッシュタグ付いてないけど感想をつぶやいている人やブログなどに書いた人を頑張って探して集計することにしました。
自分からすれば、わざわざポジティブな感想を書いてくれる人は興味を持ってくれたと判断して良いだとうと思いました。
もちろん感情表現のハードルは人それぞれなのは承知してますが、そこまで踏み込むと目標がいつまでも定まらないので。

また全プレゼンを二分して、その間に歓談タイムを設けることも知ってました。
イベントのスムーズな進行のため、プレゼン後の質疑応答は無しになっていて、その代わりに用意された歓談タイムがあります。
これは会場内に発表者ごとのスペースを用意して、そのプレゼンターのところにいって何か質問できるという形式です。
自分も含めて何人かがプレゼンした後の歓談タイムですから、参加者からすれば興味をもったプレゼンターのところに集まるはずです。
なので私のスペースに集まってくれた人を数えることにしました。

引っ込み思案で大勢の中で私に話しかけられず、後から何らかの手段でコンタクトをとってくれる方もいるかもしれません(実際いた)。
後から分かったのですが、会場が人数に対して少しキャパが足りていなかったので、単に歓談タイムにこっちに寄ってこれなかった人もいたし、何人かのプレゼンターを回っていて私に時間を割けなかった人など原因はどうあれ、その後に連絡くれたということはプレゼンに興味を持ってもらったと判断してよいと思いました。

これらの人数を3日間集計します。
もしかしたらストーカー対策でイベント参加したことをつぶやくにもタイムラグをつける人もいるかもしれませんが(いるのかな)、集計しだすとキリがないので3日間としました。

そしてそれらの合計人数を50人としたのは、参加者が150人くらいと聞いていたので4分の1以上には興味を持ってほしいということと、もしかしたら各条件を同じ人が重複している可能性があったことからきり良く50人としました。

これで数値目標を設定できました。
もちろんそれ以外の方法で興味を持ってくれた人の人数を数えることも出来たかもしれませんが、それは達成率を図ったあとの反省会ですべきことだと思ったので、これ以上は深く考えませんでした。

 

プレゼン作りとその他準備もろもろ

 

さて、一番大事なスライド作りです。
自分史上一番の具体的な目標を持ったスライド作りでしたが、楽しかったです。
まずは楽しんでもらうこと、そして興味を持ってもらうことを前提に置きます。そのため参加者の様子を知るための過去のロマ数の感想などを調べました。
私の調べ方にも寄りますが多かったのが「内容は難しくてよく分からなかったけど面白かった!」みたいな感想が多かったです。
これは主催者側を傷つけない配慮のある感想だと思いました。
内容がよくわからないプレゼンも1つ2つなら何とかなりますが、聴講者にとってそのようなプレゼンが続いたと予想しました。
そのようなイベント構成だったからこそ、そのような感想が生まれたのではないかと。
また分かりやすかった、終始聞いていられたというプレゼンは数学と「とっつきやすい何か」を混ぜたプレゼンが多かったのではないかと。
事実HPの過去のプレゼンターの中には、稀有な経歴の方もたくさんいらっしゃったので。
私としては狙いは、ありがちなプレゼンの逆をつくことで、目標を達成することでした。
「難しくてよくわからなかった。。。」とならないようにするには、なんとなくでも話についてこれ、ところどころ想像が追い付かないけどすごそう!と思わせるしかありません。
そしてこちら側が、聴講者を楽しませようと意識していることが伝わるようにすることも大事かなと思いました。
抽象的な取り組みは上記のような感じで、具体的に何をしたかを書いていきます。

  • プレゼンテーションツールの選定
  • ところどころに笑いを
  • 後後のため若干の隙を作る
  • 文字の使用をなるべく控える
  • 発表順を意識
  • リハーサルの徹底

個別に書いていきます。

 

  • プレゼンテーションツールの選定

まずプレゼンテーションツールの選定ですが、迷うことなく使い慣れた「prezi」にしました。
これは従来のスライド式とは全く異なり、1枚のポスターを作って、そこに視点を変える順番を設定して見せていくプレゼンが作れます。
もちろん、スライドをアップロードして視点を横にずらしていけば普通のスライドっぽいプレゼンを作ることも可能です。
実際のスライドをあげておくので参考にしてください。

http://prezi.com/fjh4bhiypo8n/?utm_campaign=share&utm_medium=copy&rc=ex0share

本名がもろにでてるけど申し込みも本名でやっちゃったし、サイトにも載ってるしもういいやって。


このツールは短期決戦のプレゼンに向きます。逆に30分を超えるプレゼンだと、その動きの珍しさが薄れて、下手に作ると見づらさだけが目立ってしまいます。
私はこのツールで60、90分のプレゼンも作り、勉強会のようなお堅い場所でも使用したことがありますが、preziの持つ特徴は、話題の構成に則った説明をするときにのみに使い、基本はスライドのように進めました。
あとは単に数式を表示する能力が低いので、数学的な内容をだすためにtexで一通りスライドを作って、それをpreziへアップロードして並べて表示してました。


ただ今回は5分という短期決戦プレゼンで、しかも目標のためには数式も使う必要がありません。
なので、このツールの本領を発揮できるのはないかと考えました。


スライド送りする道具を自前で用意しました。

コクヨ パワポ操作用 フィンガープレゼンター 黒曜石 ELA-FP1】

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B3%E3%82%AF%E3%83%A8-%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%9D%E6%93%8D%E4%BD%9C%E7%94%A8-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC-%E9%BB%92%E6%9B%9C%E7%9F%B3-ELA-FP1/dp/B00D63BIAO/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1533276022&sr=8-1&keywords=%E9%BB%92%E6%9B%9C%E7%9F%B3+%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BC%E3%83%B3

これは指輪型なので目立たず、手を大きく使える(実際使えてたかどうかはわからないんですが)。
そしてスライドを送る動作を見せないので、スライドそのものに集中させることができます。
もしレーザーを必要としない方ならば購入を検討してもいいかもしれません。

 

  • ところどころに笑いを

聴講者を楽しませようとしていることを意識していることを伝えるには実際に笑いをとりにいくのがいいと思いました。
これはプレゼンのテクニックの1つとしてよくでてくる「つかみ」となるジョークなど入れるものと同じ。
これはスベってもいいんです。
とにかく非数学的な内容で、これから面白いプレゼンを作ってきたということが伝わるようなものを準備しました。
一番いいのは当日の出来事などを使って簡単なジョークを用意することですが、
私は緊張するタイプなのでそのような賭けにでることはせず、事前に作っておきました。スライド中の最初にあるデタラメアンケートがそれになります。
あとはネタを3つほど仕込んでおきました。これはスライドを見てもらえばわかると思います。

 

  • 後後のため若干の隙を作る

プレゼンの構成としては、有限版の一番オーソドックスなパズルのルールを説明し、
いきなり無限へ拡張して有名な定理を1つ紹介する、そして帽子パズルの研究方法と、
研究として盛り上がっていることを伝えるといった4段構成です。
この4段構成の中で適度の説明を省き、省いたことを伝えて、それは後の歓談タイムで聞いてくださいと何度か言いました。
この「続きはWEBで」のようなやり方は目標の人数を達成するための作戦です。

あとは単純に何度リハーサルをしても時間が足りなかったんです。
オーソドックスなパズルのルールは、これが分からないと無限へ拡張しても楽しめないのでなるべく少ない言葉数で説明することにしました。
またいつもはパズルの勘所を伝えることで、無限拡張のさいに驚きを増やす方向でいくのですが、このときは勘所の説明は省きました。
そしてパズルの結果だけを述べて、解法は省きました。

結果さえあれば無限の話をするさいには十分でした。
そしてある程度の数学経験者がひっかりそうなワード(可算、選択公理連続体仮説)をいくつかスライドにちりばめておきました。
これも目標達成のためで、現代数学へつながるようなワードを入れておかないとワクワクしないだろうと考えたからです。

 

  • 文字の使用をなるべく控える

帽子パズルは変数が多いです。囚人の人数、帽子の色の数、帽子の見え方、発言の順番、勝利条件、各囚人の戦略。
自分の修士論文では、それらを一言で表せるようなものを用意してましたが、それを定義する時間もありませんから、そういう設定のパズルをやっていることを絵的に伝えるよう努力してみました(絵心欲しかったな)。
そして数式は1つも登場させていません。
またスライドが完成すれば、一度リハーサルしてみて、口で説明した方が早そうならスライドから削除していきました。
なので同時進行で原稿も作っていき、文字数を出来るだけ減らすことに努めました。

 

  • 発表順を意識

このような作戦で行くと発表順も意識する必要があります。
もし私の前に振り落とされるプレゼンが続いて、私が最後まで楽しめるプレゼンをすれば目標達成は楽になると思います。
しかし、どのような方がどのようなプレゼンをするかは当日まで分かりません。
今回は幸運なことにそんなことを一切気にする必要のない(というかできない)トップバッターでした。
なのでそれを活かすテクニックは思いつきませんでしたが、気持ちとして

  • 後発のプレゼン全てを台無しにするくらい完璧なものにしてやろう
  • トップバッターということは会場の空気作りに関わる。
    これから面白いプレゼンが続くことを予感させるような内容にしよう

という感じで自分を追い込みました。そのおかげで上記の取り組みも思いつくことができたし、十分な準備ができたと思います。

 

  • リハーサルの徹底

これはどんなプレゼンの指南書にも載ってますね。
今回は5分ということで通しで練習することも用意なのでかなりの量練習しました。
そして本番3週間前にはスライドと原稿を完成させておいて、友達に披露して意見を貰いました。
この友達がかなり鋭いツッコミやアドバイスをくれたので非常に助かりました。
彼には事前に、上記のような目標を立ててプレゼンすることを伝えて、それが達成できそうかどうかを検討しながら聞いてもらいました。
結果、パズルのルールを最低限に増やし方と、食いつきそうなところを教えてもらい修正しました。
そして時間を計って、かなり細かくいらないところを削る助言ももらいました。
また私は、本番では話すスピードが遅くなる傾向があることも伝え、ある程度時間が余るよう意識して意見してくれました。
そのおかげで、スライド、原稿ともに良いものが出来上がり、あとは何度ボタンを押せばどのようなものが表示されるか分かるくらいに練習しました。
このpreziはアプリもあって、iPhoneでプレゼンを見ることもできます。
当時はサラリーマンだったので、電車を使わず徒歩で1時間半くらい徒歩で帰りながら、何度も原稿を読んでました。
多分道行く人からしたら怪しかったでしょうね。
前にどこかで指南書でお風呂でリハーサルするのがおススメと書いてありました。
理由は音漏れがなく、(防水スマホでない限り)スライドを見ることが出来ないので原稿暗記の練習にもなると。
自分の場合は歩いている方が頭が働きやすいので、帰り道で練習してました。

それにそこまで大声でなければ迷惑にもなりませんし。
とにかく不安がなくなるくらいには練習できました。

当日


長い一日でした。
プレゼンターはお客さんの会場入りのさらに1時間前に集合でした。
なんばは歩きなれているので迷うことはないと思ってましたが、ウズウズしていてかなり早めに家を出ました。
南海駅あたりで朝ごはん食べて、その最中もモグモグしながらブツブツと練習。
会場には迷惑だったかもしれませんが早く着きすぎてしまいました。
係の方とあいさつし、何人かは何度かお会いした方もいたので少し話してました。
そしてプレゼンターが全員そろった段階で打ち合わせと機器チェック。
打ち合わせでは、撮影を許可するかどうかも聞かれました。
preziは基本オンラインで編集・プレゼンするのですがダウンロードもできます。
ただ互換性に自信がなかったので、マイPCを持ち込むことにしました。
prezi使用者はダウンロードしてマイPCを持ち込むことをおすすめします。

 

そして開場し、参加者がたくさん入ってくる。
当日のプレゼンの様子は以下の公式サイトで見れます。

https://wakara.co.jp/mathlog/20170519

プレゼンの前後のことはよく覚えてません。
ただ原稿通りに話せたし、用意したオチも(たぶん)受けました。
これだけ用意しておけば、もはや本番は消化試合です。
あと自分は本番がリハーサルよりも話すスピードが遅くなるというのも的中し、時間は制限時間の枠内にうまく収まりました。
そのあとは他のプレゼンターも後学のためしっかり観察してました。
最初の6人が終わって歓談タイム。
私の周りにも人が集まってきてくれていて、質問に答えていきました。
予想通りプレゼンに用意した隙から質問してくれました。
予想外の質問は少なかったですが、それはこちらが上手く聴講者の感想をコントロールできたことだと開き直りました。
あとは目標のため人数を数えてました。
会場が狭かったのでこちらに興味がない人も傍にいたので数え上げに苦労しましたが、話を聞いていそうに見える人を数えていきました。


そして後半組のプレゼンが続き、2つの飛び込みプレゼンを経てイベントは終了しました。
参加者として来ていた何人かの知り合いへあいさつをして、早々にBBQへ向かうため電車に乗りました。
イベント開始前に面識のあった「せきゅーん」さんとLINE交換してました。
なので打ち上げがあった場合は連絡もらう約束してたので、安心して出発できました。

 

1時間くらいかけてヨットハーバーに着いて、いきなりの乾杯ラッシュ。
そしてスーツを着ていることをいじられて(なんとなくスーツでプレゼンしたかったので、そのためにシャツとかも新調してました)。
もともとお酒飲めるキャラだったので、かなり飲みました。
ただ肝が小さいので、こういう緊張することがあった日ってごはんがのどを通りづらくなります。
なので食べ物はほとんど手を付けなかったですね。

せっかく取引先のスーパーから美味しいお肉をたくさん提供してもらっていたのに。
このBBQは会社の毎年恒例行事で、泊まって1日中酒飲んだりもするんですが、ちょうどいいところでスッと抜けてきました。
前年は泊まって社内外の人とお酒飲んでたですが、今回は感想の集計という仕事があったので。
このスッと消えていなくなる技術は意外と大事な気がする。どう大事かは説明できないけど。

なんばに戻ってきてせきゅーんさんに案内してもらって打ち上げ会場へ(たしか2次会だったかな)。
プレゼンター、運営、参加者混ざっての打ち上げでした。
色んな感想を聞かせてもらって、特に仕事として数学に携わっている方からは(営業トークかもしれませんけど)かなり褒めてもらって嬉しかったです。
運営側の方からも話をたくさん聞けてイベントを作る側としての話を聞けたのも良かったです。
1日にあまりに多くの人と話すと疲れてしまうタイプなので、飲み足りなかったですが打ち上げ終了前にお店からは出ました。
よく行く難波の立ちのみ屋さんで、聞いた感想や思ったことをメモしながら1人「生しらすのお造り」を食べハイボールを飲んでました。
次の日は1日中寝てました。
そのあとハッシュタグなどを追いかけ、何人の方からはメッセージが来ていたのでそれに答え、集計作業を行いました。

結果と感想


楽しみな結果ですが、50人という目標に対しかなり厳しめに集計して38人でした。
悔しいですが、数値目標設定の良いところは、失敗の度合いが身に染みて分かるところです。
この結果からはあと12人増やすためにどうすれば良かったのかを考えることができます。
思いついた敗因は以下の2つ

  • 会場の狭さを事前に知ることができたのにやらなかった
  • イベント後の連絡手段をTwitterにしたこと

1つ目の理由ですが、会場の広さは私ではコントロールできることではないです。
会場が狭かったことで、集計の際に使用する私の周りに集まる人は少なくなります。
50人の配分も事前に考えたのですが、見事に歓談タイムの集まる人数を多めに設定していました。
開催場所を知っていたので下見は可能だったはずです。
下見をしていれば、歓談タイムで集められる人数が少ないことを悟って、2つの選択肢が生まれたはずです。
1つは目標を下げること。今回の目標不達成の理由は目標設定が悪かったことに起因します。
目標達成するために、目標を見直すことも1つの手だと思います。
なかなか会社ではやらせてくれない選択なんですが。
もう1つは目標そのままに他で挽回させること。
これに気付ければ敗因の2つ目に対しての対策をとっていたかもしれません。


イベント後の連絡手段として利用したのが、当日の実況でも使用されていたTwitterなんですが、これはアカウント持ってないとやりとりできないんですよね。
Twitterにいるとつい全世界の人間がアカウントを持っていそうな錯覚に陥りますが、
ロマ数はTwitter以外の媒体(テレビでも紹介されている)でも宣伝されているため、Twitterを経由せず参加申し込みした方も多かったはずです。
少しプレゼンとは離れますが、個人HPを作っておいて、そこにメルアドなどの連絡先を記載する。
そして帽子パズルに関するコンテンツ(例えば修士論文の要約とか以前の勉強会のスライドとか)を置いておき、そのような後学のための情報があることをプレゼンの中にさらっと潜り込ませておく。
そうすれば少しでもコンタクトをとるための障壁を減らし、また情報を与えることでプレゼン後の満足度も上げれたかもしれません。

 

感想としては
初めての戦略的な試みでしたがかなり楽しかったです。
そして社会でも要求される「数字で考える」という技術の良い練習になりました。
結果は残念でしたが、それによって上記にように反省点もあげれますし、同様のイベントに出る際の目標設定の役に立ちます。

 

他のプレゼンターの話をするならばやはりせきゅーんさんの発表が良かったと思います。
彼のプレゼンは、このイベント以前に2回聞いたことがあり、1度は「関西すうがく徒のつどい」で、もう一度は私が企画運営していた「学問分野を知ろうの会」で、です。
その2回は60分以上のがっつり数学系のプレゼンでしたが、話の進め方が上手く前提知識のなくとも数学に興味があれば楽しめるようなプレゼンでした。
そのようなプレゼンを作れるのは、場数と彼が背景にもつ知識の多さだと思います。
知識が多ければ情報量の選択や、提示する深さの調整が難しくなると私は思っているのですが、彼はそうなることが少ないと感じました。
しかし、そのような彼でも5分という発表時間でも同じようなクオリティのプレゼンを作れるのかどうかは分からなかったので、楽しみにしてましたが、相変わらず上手かったです。
彼に確認をとったわけではないので、本人がそれを意識していたかは別ですが、(勝手に比較してすみません。。。)私が削るタイプの作り方ならば、彼はその逆の情報量で押しまくる作りでした。
例え方としては不適切かもですが、映画の予告を見ているような感じ。
私が5分で収まる物語を作ったのに対し、もともと面白い120分映画を作っておいて、そのエッセンスを抜き出した5分の予告を作ったというか。
これが出来るのは、もともと120分あっても終始楽しませられる数学の知識量と経験があるからで、これには敵いっこないなと思いました。
もちろん分野も違いますし、5分に向く数学のテーマも様々なので、同じ土俵に立つのは難しいかもしれませんが、いずれ実力をつけて集合論系の5分で面白い発表にチャレンジしてみたいです。
もちろん無限帽子パズルも十分公理的集合論の話題ではあるのですが、また違ったもっと王道の集合論のプレゼンが出来るようになりたい。

 

あとはイベントのシステムに対して少しモヤっと感じた点を2つほど。
私も同様の学問系プレゼンイベント主催経験アリの身として書いてますが、主催したイベントの規模(かけたお金、参加者数、広告費など)や開催回数で比較すると私はかなり下の立場なので、素人に毛が生えた程度の意見ということを前提に読んでください。


1つは男女で参加費が違う点。

イベントごとで値段設定は異なるみたいですが、この元祖ロマ数は2018年8月開催のものでも男女で値段が変わるみたいです。
もちろん記事公開後のn回後のイベントで変わるかもしれませんが、少なくとも私が参加したときも、男女差はありました。
値段はこんな感じです。
大人男性 3500円
大人女性 2500円
学生男性 2000円
学生女性 1000円
高校生以下 無料
公式サイトには、その理由も以下のように書いてありました(おそらく問い合わせがあったのでしょう)。

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うーん。。。分かる気もするけど。
学生と社会人なら収入差があるので値段が変わるのは分かるんですよ。

でも同じ身分の男女で値段が違うのってどうなの。
100歩譲って大人の男女で値段が違うのは分かるんですが、学生の男女で値段が違うのはなんかおかしいと思います。
これって数学を布教するためのイベントであって、男女の出会いを促進するためのイベントではないはず。
仮に100人全員が数学好きの男で集まって何が悪いのかなぁと。
そういう風に男女関係なく盛り上がるからこそちゃんとした女性数学人口も増える気がするんです。
それに本業の数学教育事業のことを考えても、値段が高くても文化的価値の高いものに投資できる女性(もちろん男性も)を増やすことが会社のためになったりするような気がします。
もちろん、これだけ大きなイベントだと大きなお金が動くので私の考え方とはまた違う部分があると思いますが、どうも腑に落ちない部分でした。
あと女性を安くするために男性を高くすることでバランスをとっているなら、男性側としても「なんで来るかどうかわからない女性参加者のために多く支払わなくてはいけないの?」となると思います。
女性限定のロマ数もあるみたいなので、それなら良いと思います。

 

もう1つは飛び込みプレゼンの存在。
コレいるのかなって思います。
これは当日の参加者の中から希望者を募って、2人ほど即興でプレゼンさせるものです。これはプレゼンターの立場的にはどうでもいいですが、選考に落ちたプレゼンターと参加者の立場からするとモヤっとします。
私は幸いにも選考に通りましたが、何人かは審査でお断りされてます。
その人からしたら、なんで私が落ちて当日そこにいただけの人がプレゼンできるの?っと思いませんかね。
ようはあの舞台に立てる人の基準がブレてるように見えます。
もちろん即興で面白い話を出来る方はたくさんいるので、それでイベントを盛り上げるってのはいいんですが、今後どれだけプレゼンできる人を集められるかが重要なはずなので、プレゼンターから不信感を抱かれるようなことは避けた方がいい気がします。
私はこのイベントでお金をもらってもないし、参加費を払ってもいないので3500円の参加費を払ったと思ってこの取り組みについて考えると、なんでお金を払って準備不足のプレゼンを聞かなくてはいけないのかなと。
これが参加者もプレゼンターも平等の有志の数学同好会ならば、どれだけ他人が準備不足でも気にならないですが、仮にお金を払ってもらい楽しませるイベントならば、そのプレゼンの面白さを担保できない取り組みは避けるべきじゃないかなと。
もちろん運営の方にその場で人を見極める能力があるならば、これまで同様今後も問題にはならないと思いますが、当日飛び込みプレゼンを聞いていてなんとなく思ったので書いてみました。

今後の人のために


今後参加してみようかなって人と、同様のプレゼンをやってみようかなって人に向けて何か書いてみます。


まずは参加してみようかなって人へです。
このイベントは今現在の数学系プレゼンイベントとしてはほぼ一番に規模の大きいものです。
10を超える様々な種類の数学のプレゼンを聞けるイベントは他にありません。
数学の世界を覗いてみたい、自分が知らない数学を知ってみたいという方にはおすすめです。
ただプレゼンを通しての理解度に関してはそこまで期待しないほうがいいと思います。
プレゼンターは謝礼を貰っているわけではないのでプロではありません。
私はプレゼンが好きだから無償で参加したわけですし、他には自分の活動の宣伝をしに来ている人もいます。
なのでプレゼンは各自の自己紹介の一貫だと割り切って、面白そうなプレゼンターがいたら歓談タイムなどでドンドン絡みに行くといいと思います。
私自身イベント当日に歓談タイムから仲良くなった方と、帽子パズルについていくつかメッセージをやりとりしていく中で発見があったりしたので、そういう意味では良い機会だったと思います。

 

ロマ数に限らず、数学系の5分プレゼンに挑戦する方へ何か書いてみます。
まず、そもそも興味ない人・興味はある初級くらいの人・中級・上級が混ざっていれば全員が楽しめるような学問的発表は不可能です。
ちなみに数学に級位はないので、ここではなんとなくで読んでください。
なのでもし参加者の比率が事前に分かるならば、その比率に合わせて難易度を調整するといいと思います。

5分プレゼンではとことん削るか、とことん盛り込むかのどちらかした方がいいと思います。
前者は分かりやすさ重視、後者はエンタメ重視でしょうか。
後者は「そもそも興味ない人、興味はある初級くらいの人」が多い場合スベる可能性が高いです。
それでスベらないせきゅーんさんがすごいだけです。
なのでより多くの人に確実に楽しんでほしいなら、なるべく削っていった方がいいとおもいます。
削り方ですが、数式、数学的定義はテーマとなるものをしっかりやり、それ以外は雰囲気や直感的説明にしておくほうがいいです。
そのような説明の仕方は、普段定義定理を重ねていっている方からしたら、目隠しして綱渡りをしているような感覚になるかもしれません。
こんな薄い内容で数学好きは楽しんでもらえるかな?と不安になるかもしれませんが、それくらいの方がバランスとしては良いと思います。
分野・テーマによっては5分プレゼンに向かない数学もあると思います。
なので自分の話したいことが最大限定義定理を削ったときに数学プレゼンとして逸脱しそうなら、いっそのことテーマを変えて方がいいかもしれません。

後者のエンタメ重視のプレゼンは自分自身も最近になっていくつか挑戦した身なのでそこまで偉そうなことは言えないですが、分かりやすさ重視以上に話の筋道をはっきりさせます。
5分間、内容は分からなくとも、どんな順序で話しているかは分かるようスライドを作ります。
このときpreziだと分かりやすくできるんですが、一般的なスライドではどうすればいいのかは思いつきませんでした。
またこのときは数学的内容はドンドン入れていくべきです。
内容の広さで勝負すると面白さはあがるかもしれません。
数学好きは「わからない」感情を楽しめる方が多いです。その人たちが存分に楽しめるよういろんな話題をぶっこみまくりましょう。

 

ざっくりとした話で申し訳ないですが、超完成度の高いネタでも聴講者によってウケるウケないは変わるので絶対的なことは言いにくいです。

でもだからこそ一回一回が真剣勝負になるのでプレゼンテーションは楽しいのだと思います。

大人向けの小さな数学教室を開くための準備を開始します

1週間前くらいに以下のようなつぶやきをしました。

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価格・内容は以後調整していくとして、大人向けの数学教室はある程度の需要があることが分かりました。
よって本格的に数学教室としての活動を開始していきたいです。
しかし、いきなり人様から3000円をいただくわけにもいかないのでその準備を始めます。
まずは指導経験を積み今後の教室としての活動方法を考えるため、プレオープンとして何人かをほぼ無料(私の交通費500円のみ)で教えてみることにします。
そのための情報を140字にまとめるのは難しいと感じたので(使い方としては邪道かもしれませんが)このブログの1記事としてまとめてみたいと思います。

 

 

応募条件


誰かれ構わず対象にしてもお互いにとって良い結果が得られるとは限らないので、勝手ですが応募に対して以下のような条件をつけます。

  • 算数、中学数学、高校数学を勉強したい方。
  • 9月中に週に1回程度(計4回)、大阪なんばに10時~15時の時間帯で1~2時間都合がつく方。今のところ全曜日対応可能です。
  • 毎回いくつかのアンケート(10分程度)に答えてほしいです。
     またそのアンケートで個人情報を含まない部分に関しては今後の活動(例えばHPに掲載する等)に活かさせてほしいです。

以上の条件を満たす方からのご応募お待ちしています。
応募方法は私のTwitterアカウント

 

@souji04261

 

へのダイレクトメッセージか、新しく作ったメルアド

 

officialsouji0426@gmail.com

 

へご連絡ください。
この記事だけではお客様候補にとって情報が不足している可能性が高いので、質問などもお待ちしています。
応募のさいは以下の情報を添えてください。
(1)お名前(偽名でも可。なんとお呼びすればいいか教えてください)。
(2)初回の面談日の候補。8月1日から8月31日までの間で都合の良い時間を教えてください。

 

今後の予定

  • 2018年8月31日まで
    応募された方の中から、今後の学習方法や日程などを決めるため最大1時間で面談をしていきます。
    ただしこの面談の結果によっては、ほぼ無料(私の交通費500円のみ)で指導することをお断りすることがあります。
  • 9月1日から9月30日まで
    上記面談から一緒に勉強できると判断した方と、個別に週に1回程度お互いの空き時間を合わせながら進めていきます。
    私は指導経験を積みつつ、この期間で以後どのような価格・内容にするかを考えていきます。
  •  10月以降
    決めた活動方針に沿って数学教室を始めていきます。

その他の情報


私の指導歴


大学1年次の個別指導塾のバイト経験のみです。このとき小・中学生に数学メインで教えてました。
教員になる気はなかったので教員になるための単位取得や勉強はしてません。
私自身学生時代数学は苦手だったので、いろんな方に教えてもらって数学を楽しめるようになりました。
その経験を活かして、今現在苦手意識のある方に向けて教えれるようなりたいです。
その経験を書いた記事があるので参考にしてください。

souji0426.hatenablog.com


教室の場所・環境


現在、両親の大阪なんばにある立ちのみ屋を手伝っています。
営業前の時間が空いているのでその場所を使って勉強したいと考えています。
そのような場所で数学が勉強できるのか疑問かもしれませんが、4月から7月までの4か月間この場所で数学の勉強会を週に1回してきました。
机、イス、ホワイトボードはあるので必要なものは揃っています。
勉強会は私をいれて5人でやっていたので少し狭かったかもしれませんが、2,3人での数学教室の場合は十分な広さだと思います。
南海なんば駅から5分もかからない場所にあり、アクセスは悪くないと思います。

大人の学びなおしのためのテキストはたくさん出版されているので、その中からいくつか購入予定です。
すでにテキストをお持ちならば、それに合わせて進めることも検討します。

 

追加情報

その他質問があれば、その質問・回答をこの下に書き加えていきます。

ほぼ儲けのない学問イベント、始めました

このたび、下書きの一つを完成させる気になりました。

2018年4月より、私が店長をしている立ちのみ屋「裏難波大學」にてプレゼン主体の学問系交流イベント、「裏難波大學開講日」を始めました。

このブログでは、なにゆえそのようなイベントを儲けにもならないのに始めてみたのかをまとめてみました。

以下の要領でまとめました

 

①については、すでにご存じの方は飛ばしてください。

① そもそもどんなイベントなの?


これについては、普段私のTwitterアカウントとか見てないような方のために書いてます。
2018年3月より、大阪の裏なんばという飲食店が多い地域にて、すでにそこにあったお店の非営業日に、その場所を借りて「裏難波大學」という立ちのみ屋を始めました。
この名前を付けた理由は、入りづらくしたかったのと、なんとなく学問っぽいものをやっているのを表現したかったからです。
私自身学生時代にプレゼン主体の学問系イベントを運営していて、そのイベント内やその後の懇親会で学問的な内容で盛り上がっている参加者や運営メンバーを見て、
仮にお店を経営出来るなら、そのような雰囲気を作りたいと考えていました。
もちろん全員にそれを強制することはできないし、本来営業しているお店の常連さんも利用してくれるので(というか今時点ではほとんどがその常連さんメイン)、
静かにのんびり飲める雰囲気を作っておけば、常連さんも、そのようなお話をしたい人も満足してもらえるのではないかと思い、わざと入りづらくしたり、団体客や、酔い過ぎている人、他人へ迷惑をかけそうな人の入店を断ったりしてます。


一か月ほど営業してみて思ったのは、そういう学問的興味を持つ人が来店した場合、私の手が空いていれば、いくらでも数学(私が提供できるのはごく一部の数学だけですが)の話をすることが可能なのですが、嬉しいことに常連さんも他の営業日と代わりなく来店して頂けていて、なかなか飲料料理提供以上の接客が難しくなってきました。


ちなみに最初は(わざと)提供しやすいメニューばかりを置いていたのですが、徐々に手のかかる料理(その分、おいしいとおすすめできる)を増やしてきたので、それによっても手が空きづらくなりました。
ただお酒を飲む以上美味しいおつまみの存在は欠かせないので、これに関しては、どれだけオペレーションが複雑になろうとも今後も頑張っていこうと思います。

あくまで立ちのみ屋ですから。

 

これでは学問系と言いつつ単なる入りづらく店長が頑固そうな立ちのみ屋になってしまうと思いました。(それでも1年以上営業できれば飲食店としては十分すごいんやけどね)
よって立ちのみ屋営業と両立しつつ、何か学問的な催し物を用意できないかと考えたのが「裏難波大學開講日」です。
名前は大学の授業っぽい名前にしたかったからです。


これは、週に一回、立ちのみ屋営業開始の18時より1時間前にスタートして、大体45分くらいの学問的プレゼンを楽しんでもらうイベントです。
立ちながらプレゼンを聞くのはつらいと思ったので、この時ばかりは椅子を用意してます。

 

ちなみに最近は立ちのみ屋でも椅子を用意するところが多くなりました。

理由は顧客の高齢化とか色々です。
椅子の提供に対して、代金をとるお店・とらないお店と様々です。

おそらくとるお店を回転率を意識してのことだと思います。
立ちのみ屋は、メニューの利益率を下げてお得感を出しつつ回転率で勝負するのが一般的ですから。
私のお店では、お酒好きの方が多いので、多く食べ飲みしてくる方が多いのでそこまで回転率は意識してないです。
もちろん毎日きて一杯だけ軽く飲んで30分もたたずに帰るおじいちゃんとかいるけどね笑

 

イベントは参加費が1000円で、ハイボールと乾きもの(お菓子とか)が付いてきます。
もともと狭いことに加えて椅子を置くと、最大4つしか椅子を置けないので、かなりこじんまりとしたイベントになっています。

イベント後はそのまま立ちのみ屋営業に移行するので、残って飲みたい方は追加でお酒や料理を注文するような流れになってます。

 

プレゼンは今のところ私が担当していて(つまりプレゼンしながらお酒も作ったりしてます)大学以降の数学を、専門外の人にも分かりやすく、楽しんでもらえるような内容になるよう心がけています。
1か月ごとにテーマに変えています(つまり4回ずつ同じプレゼンをする)。
自分以外のプレゼンターも募集してます。その場合、プレゼンター+私+参加者4人の人数構成になって、お酒を作りつつ、参加者の一人としてプレゼンを楽しませてもらおうと考えています。

ここまでが「裏難波大學開講日」の概要です。


② 儲けがないってほんと??


次はこれについて説明します。
参加費は1000円ですが、普段の販売価格からすると、内訳の500円はハイボールと乾きものです。
よってプレゼンをした私の儲けはイベント参加者数(Max4人)×500円です。
1人しか参加者がいなかった場合(0人の場合は開催しない)、私の時給は500円なわけです。


この時点でも薄利なわけですが、もしプレゼンターが私でなかった場合、私がもらうはずの500円をそのプレゼンターに差し上げることにしてます。
つまり、その場合、私はタダ働きです。


ちなみに参加費の金額設定もプレゼンターにお任せしようと思っています。
当の本人が儲ける気が無ければ、最低価格の1人500円でもいいし、もしご自身のプレゼンに自信があれば1人2000円取ってもらっても構いません。
その価格設定で4人の参加者がいた場合、プレゼンターの儲けは6000円になります。

 

今後も私がプレゼンターの場合は、参加費は1000円で固定しようと思ってます。
イベントの所要時間を変える気はないので、プレゼン内容によって参加費を変えようとするとかなり説明が煩わしくなるからです。

つまり私がプレゼンした場合でも大して儲けにならないし、待望の外部プレゼンターが現れれば私の儲けは無くなります。

 

ちなみプレゼンの作成時間は大体10時間くらいなので、その間の時給を考えると、毎回4人必ず参加してくれるくらいにならない限りは、元をとれるのはだいぶ先になってしまいます。

これが儲け無しの理由です。

 

補足すると同情を誘いたいわけでも、自分のプレゼンが500円しか価値がないとも思ってません。


③ じゃあなんでそんなイベント始めたの???


この理由は
③-1 プレゼン仲間を見つけたい
③-2 プレゼンスキルアップ
③-3 学問の面白さをキチンと伝えられるようになりたい
くらいかなと思います。

 

③-1 プレゼン仲間を見つけたい


私自身、プレゼン大好きです。

なぜ好きなのかは分かりませんが、大学3年頃から、出来るチャンスがあればチャレンジしていたと思います。
自分の中で、プレゼンが好きな理由を考えると、上手くなりたいって気分が毎プレゼンごとに沸いてくるからです。
プレゼン前は毎回緊張します。

人前であがりやすいということはないと思うので、毎回自分の中で緊張感を持てる良い機会なんですよ。
そしてプレゼン後は毎回「ああしたら良かったな」って自分の中の反省点が毎回見つけられます。

こういう毎回毎回が自分の中で新発見があるのって、今のところプレゼンテーションだけなんですよね。
説明するのが難しい数学の難しい話だって、なんとか非数学科にも内容や流れを理解したうえで楽しんでもらえるようにするにはどうすれば良いかって考えるのが、めちゃくちゃ楽しいです。

図やスライドを凝ってみたり、プレゼンのための周辺機器を買ってみたり。


そして人のプレゼンを見るのも好きです。

それぞれのプレゼンから良い所、参考に出来そうなところ、逆に参考にしてはいけない点などを見つけて自分の中に吸収していく。

そんなことが今のところお酒を飲むことの次くらいに楽しいんです。

 

そうなってくると同じくらいの熱量の人に会ってみたいですよね。
もちろん最大の吸収先になるだろうから技を盗みたいし、私のプレゼンの批評をしてほしいです。
幸か不幸か、社交辞令も含めてプレゼンを褒められることは多くても、「でもあのスライドは○○した方が良かったよ」みたいなご意見って頂いたことがなくて、毎回物足りなくも感じています。

もちろん私のプレゼンが上手すぎる可能性はあるかもですが、そんなことはないはずです。
おそらく同じくらいの熱量の人だからこそ見える私のプレゼンの弱点ってあるはずなんですよね。

それを知りたいです。

 

ではそんな人たちと出会うにはどうすれば良いか。
方法は2つ思いついていて、1つはそのような人と出会える機会を増やす。

もう1つはそのような人を自分で作ること。


1つ目の機会を増やすためには、他のプレゼンイベントに積極的に参加していくことです。
しかし、今下書きのまま止まってしまっている「なぜプレゼン系学問イベントは長続きしないのか(仮題)」にも書いているのですが、そういうイベントって様々な要因で長続きしなくて、開催回数自体が少ないんですよね。
もちろん学生主体のものなら各大学内もしくはインターカレッジな学生主体の勉強サークルがあって、その中でいくらでもそういった機会は持てるんですが、
悲しいことに私は(2018年5月現在)単なる夢見るフリーターです。そういったイベントへの参加条件を満たしにくいです。
そして社会人主体なのも、あるにはありますが、東京以外では少なく感じますね。そのイベントごとに東京に行っていては、今の立ちのみ屋で全員からチャージ1000円とるくらい阿漕な商売をしなくてはいけなくなります(もちろん普段からチャージ代なんて頂いてません)。


ではどうするか?

自分で開催しちゃえばいいんです。

これは学生時代、関西学生学問研究会を立ち上げたときの気分と同じです。

なんでも2度目は楽。
何度も定期的に継続的に開催することで、見に来てくれた人からいろんな縁がつながって出会える可能性は上がっていくと思います。
先に仮題を書いた記事内でも書いているんですが、そういったイベントが継続できない理由の一つに、イベントをするためのスペースを借りる資金がかかるってことがあります。
どのイベントも大抵良くてプラスマイナス0くらいの売り上げなので、どうしても毎回かかる場所代がネックになってきます。
そして立地を良いところにすればするほど値段は上がり、そのように配慮しても継続的に参加者が来てくれるとは限らないんですよね。
しかし自分の場合、場所代はかかりません。

普段よりオーナーから空き時間に借りて営業しています。

それ以外の時間ならば好きに使えます。
例え狭い立ちのみ屋でも使いようがあると思いました。

この場所なら定期的に継続して開催できます。


昔から好きな言葉の一つに「類は友を呼ぶ」があります。

誤用かもしれませんが、友が現れていないならば、自分が類になれてないんです。
この場所(それ以外でも)で良いプレゼンを重ねていけば、いつかは好敵手が現れてくれるはずです。


もちろん今時点で「この人のプレゼン素敵だな」って思う人もたくさんいます。でももっと出会いたいんです。

 

もう一つのプレゼン仲間を増やす方法ですが、今書いたように、自分で毎回開いていれば、自分のようにそういった機会を探している人から目をつきやすいと思うんですよね。
毎週という短いスパン(もちろん人気が出てくればこのスパンはいくらでも縮められる)で開催される以外に他のイベントよりも長時間のプレゼンを行えること、他のイベントよりも多くのフィードバックを与えられることが、プレゼンターにとってのメリットだと考えています。
このイベントは、45分くらいという他のイベントよりもプレゼン時間が長いです。
もちろんテーマによってはプレゼンを30分くらいにして、質疑応答を長くしてもらっても大丈夫です。
大体他のプレゼン主体学問イベントは5分から10分くらい、長くて15分です。
もちろん、その時間ならその時間で、短期決戦系のプレゼンを構築する良い練習になります。

だからこそ私自身もときどき参加します。
しかし、それだと伝えれる内容は非常に薄くなってしまって、準備知識が多い分野の話はできなくて、きちんとした学問系プレゼンを試すことはできない。
当イベントなら、それにチャレンジすることができます。

また聴講者は最大4人で、聴講者との距離も近いので、プレゼンの反応を細かく得ることができます。

 

ちなみになぜ運営側がそれくらいのプレゼン時間しか発表者に与えられない理由ですが、1つの理由として、大抵の同様にイベントって「初心者大歓迎」って宣伝しているんですよね。

それは運営側の持つ理念に、学問的な内容で盛り上がりたい、もしくはそういったことが人たちの出会いの場所にしたいってのがあるんですよ。
つまり軽いノリで参加してほしくて、そうなると例えば「大学以上の数学を学んだことがあること」なんてふれこみはご法度なわけです。
こと数学に限れば「中学の時の数学知識を前提とする」でも十分に参加者は減りそうです。
そうやって敷居が低いことをアピールして、なんとか参加者を集められたします。
しかし実際のイベントで参加者置いてけぼりのプレゼンばっかりだったりしたらどうでしょう?
その人はイベントを楽しんでもらえるでしょうか?次もまた参加したいなって思ってくれるでしょうか?
つまり宣伝に偽りなしであることを示すには、各プレゼンの難易度を下げる、もしくは前提知識無しでも楽しめるようなプレゼンが出来る人を集めるくらいしか方法がないんですよね。

プレゼンターと参加者の交流時間を多く設けて理解を深めてもらうって作戦もあるんですが、「さぁ今から交流して!ホラホラ!」なんてノリで交流時間が始まってもなかなか初対面の人に声をかけづらいってのが大多数ですよね。
そしてプレゼン上手い人がそう何人も集まることってそうないですよね。
ではどうするかですが、プレゼン時間を短くするんです。

これはライトニングトーク(LT)イベントでの同様の理由ですが、
5分という短い時間ならどれだけ難しい・意味不明なプレゼンされても耐えれるんですよね。

もちろん運営側も上手い人なら何時間でもプレゼンしてくれてもいいんですが、ある程度の数のプレゼンがなければ盛り上がりに欠けますよね。

それにそこまでプレゼンター間で扱いに差をつけるわけにもいきませんし。
そんなわけでいろんなプレゼンイベントは泣く泣く、各プレゼン時間を短めに設定している(と考えれる)わけです。

 

当イベントなら、なかなか積みにくい長時間プレゼンの経験、聴講者とのみつなコミュニケーション経験を積めます。
そういった経験を積んでいく中で、プレゼンする面白さを知ってくれる人が増えていけば当初の目的に一歩近づけるのではないかと考えています。


③-2 自分のプレゼンスキルアップ


②-1のでも述べた通り、このイベントを継続していけば、私がするしないは変わりますが、毎週プレゼンに関わることができます。
なかなか外のイベントで積みにくい長時間プレゼンの経験を毎週のように出来ます。
そして聴講者が近いことで、プレゼンの反応をはっきりと見ることができます。
どこらへんが分かりにくそうだったかとか、どこで笑ってくれたのかとかといった反応がはっきりと分かります。
そして同じ月内で、分かりにくそうだったりした箇所を修正して、別の聴講者相手にプレゼンして質問が減ったりすると(もちろん聴講者の理解力が2回目の方が高い可能性もあるけど)、
また一段、どこをどのようにどれくらい説明すべきかのさじ加減が身についていきます。
また私がプレゼンするときは、プレゼン中の質問も積極的に受け付けています。
やはりその時々で疑問を解決していかないと、学問系のプレゼンって途中でついていけなくなっちゃいます。
それを後日修正することも上記のことから大事ですが、即興で質問に答えるというのも(今後も含めて)大事な能力だと思います。
つまり相手の質問の内容の意図を読み取って適切な答えを用意する。

その能力はプレゼン作成時にも活きる能力だと考えいます。

 

プレゼン上達は何はともあれ回数(だと思います)。
なぜか生まれつき上手な方もたくさんいらっしゃいますが、自分のような場合はとにかく場数を稼がないといけません。
もちろんただ回数を重ねるのは意味はないことは百も承知です。
大抵のイベントは、見ず知らずの、相手の数学能力も分からない状態からスタートします。
そのような状況で、相手の理解度をリアルタイムで伺いながら、毎週のようにプレゼンできる環境を作れました。
利用するしかないと思います。

 

③-3 学問の面白さをキチンと伝えられるようになりたい


①のイベントを始めた経緯の中にも書きましたが、1つは学問系立ちのみ屋を名乗る以上、こういった催し物をする必要があったからです。
そもそも普通の立ちのみ屋さんをやればいいじゃんというツッコミもありそうですが、普通の立ちのみ屋さんならもう6年もバイトで経験しています。
そこにしかない魅力ややりやすさもありますが、私自身は普通の立ちのみ屋をやることに今現在は魅力を感じていません。
コンセプトなどで頭を使うことには少ないだろうけど、相手にするお客さんはまた変わるでしょうし。
そして裏なんばという地域が、(だいぶ廃れてきましたが)騒がしい地域ということもあって、相手にすると精神的につらい人たちが多いのも事実なので。

 

1番大きな理由は、このイベントの開催が社会に対して役に立てそうなことだったからです。(書くのも恥ずかしいですが)

まだお店を始めることすら考えていない時代、特にその中でもサラリーマン時代にプレゼンすることの楽しさを再発見しました。

楽しさがあるこのプレゼン行為ならば当然、ノーストレスで継続してやっていけるはずです。
しかしいろんな人に言われて気付いたのですが、独りよがりのプレゼンになってしまえばなんの意味もないと。
こちらが楽しいと思えるプレゼンを量産しても、聴講者の中になんの変化もなければ、自分のマスターベーションに他人の時間とお金を使わせてるだけに過ぎないと。
よくよく考えるとプレゼンって、聴講者って黙って座って聞くしかないから、プレゼンターの内容が酷ければ、その聴講者側に発生する「時間の無駄」ってかなり大きいですよね。
無駄な会議が一番人件費がかかる行為みたいな。
もちろんそのころはプレゼンでお金をいただこうとは考えていなかったので、そこまで深く考えていなかったんですけど。

 

一般的な義務教育・大学教育を終えた大人に学問に興味を持ってもらうことは非常に意味のある活動たと思います。
もちろん大人だけでなく子供にも教えるべきですが、両方同時に楽しませることは私に難しいと感じ、今は大人を対象にして続けています。
大人といっても、子供以上に個人個人の背景が様々です。
もしどのようなバックグランドの人にも数学の面白さを伝えられるようになれば、
そしてその面白さを知った人が自分の周りの子供に「数学は面白い」と一言言ってもらえれば、私の活動の意義もあると思います。


以前つぶやきましたが、私がどこかお偉いさんに「日本人数学者増殖キャンペーン」をやれと言われれば、数学好きの子供を増やすという方法ではなく、数学好きの少年少女を邪魔することない大人の増加させる方法をとります。
もちろん前者の活動も大事ですが、いくら数学に興味を持ってもらっても、その子の教育に対する出資者である大人が、数学を勉強することを認めなければ話はそこで終わってしまいます。
なので最終的な影響力を考えれば大人に学問の面白さを伝えるほうがやりがいも影響力もあると考えました。


なのでお店営業時に、このようなプレゼンイベントをやっていることを一見さんにも説明したりしています。
今はそういうイベントをやっていることをホワイトボードに書いて置いてあります。
たまたまお店に入店してくれただけの縁ですが、もしかしたらその人が、その人の友人が、興味を持ってくれるかもしれません。
地道にやっていくしかないです。

 

お店のコンセプトを決めているとき、お酒好きにお酒を楽しんでもらえる以外に何が自分に出来るのかを考えました。
単にお金を儲けるだけじゃなくて、自分が役に立てそうなことを発揮すべきだと言われました。
誰の役にも立ちそうにないなら、もっと効率よく同じことが出来る人がいたのならば、これ以外の方法を模索します。
それまではひたすらやり続けていきます。

立ちのみ屋のマナーは誰のため?

自分自身、普段からカッコいい酒飲み、特に外で飲む場合にどのような飲み方をすれば
自他ともに認められるカッコいい酒飲みになれるかを考えています。
今回はそれを考える中で、思いついたことをまとめてみます。

 

注意事項ですが、今回はいつも以上に不確定・未検証な仮定をおいた推論が多いです。
どこに不確定な仮定をおいて議論を進めているかは、その都度補足します。

 

今回のタイトルは「立ちのみ屋のマナーは誰のため?」です。


ちなみに、「立ち飲み屋」でもなく「立ち呑み屋」でもなく「立ちのみ屋」を使っているのは
なんとなく自分のこだわりです。


今回は飲食店、とくに立ちのみ屋でのマナーをテーマに扱います。


一言注意をいれておくと、私は2018年6月現在、このブログを書いた際立ちのみ屋の店長をしていますが、この記事に書くようなマナーを推奨こそすれど、自身の既存客、もしくはこれから新規客に守ってほしいから書いたわけではありません。
当店で最低限守ってほしいはHP内にて明記しておりますので、それを守ってもらえれば何も言うことはないです。

 

さて飲食店には、その業態ごとに様々なマナーがあります。
バーにはバーの、すし屋にはすし屋の、フランス料理屋にはフランス料理屋の、そして立ちのみ屋には立ちのみ屋のマナーがあります。
料理そのものにもマナーがある場合がありますね。串カツのソース二度漬け禁止みたいなやつね。


ここでは以下のサイトを参考にして、いくつか挙げてみましょう。

立ち飲みの心得・ルールまとめ | せんべろnet

一人飲みの作法とは

最近目立つNG行動 サラリーマンの「立ち飲み」に7つの掟|日刊ゲンダイDIGITAL

・少人数で訪れる
・長時間ダラダラと居座り続けないこと
・大声で騒いで、他のお客さんに迷惑をかけないこと
・立ち呑みなので、どんなに疲れても自分の足で立つべし
・酔っ払ってほかのお客さんに絡まない
・セルフの場合は食器類の片付け&テーブルを拭く
・やたらグループで押しかけない
・スペースを取りすぎない
・飲み食いしないでしゃべり続けはNG
・1人1品以上の注文をすること
・出会いを求めている場合でも、いきなり隣の人に話しかけるのはダメ
・女性に話しかけるのはNG、また奢ったりしない
・店員が来てから最初の飲み物を決めるのは最悪
・お勘定で、1万円札は基本NGです
・携帯電話も店内はNG

色々と書いてありますね。

もちろん抜き出し方が悪いかもしれないので、気になる方はリンクを見てみてください。

どれも5分以内に読めます。


もちろん店によってはもっと厳しいところもあったり、そんなことを一切に明記していないところと様々です。


どこかの記事にも書いてありますが、1つ目の「少人数で訪れる」の少人数の定義は店の規模や経営者によって異なります。
私の店舗の場合、別日のオーナーの場合は3人まで、私の営業日は2人まで(これは記事執筆時点での話)と決めているので、
店舗は同じでも異なる場合だってあるという例です。

 

さて色々と見てどう思ったでしょうか?
「そんなに気を遣って飲まなきゃいけないのって窮屈じゃん!」でしょうか。
それとも「そんなの前から知ってたよ。常識でしょ」でしょうか。
それとも「これは単に店が利益のことを考えているだけで、守らなければ逮捕されるわけでもないし。。」でしょうか。
まぁどのような感想でも構いません。どれも想像できたくらいですから、そのような気持ちになるのも分かります。
私自身、全てを守るべきだと思わないですし、やりすぎなのもある気がします。

 

ちなみにこれを立ちのみ屋だけでなく飲食店全体に広げるともっと厳しい、ないし奇抜なルールがあります。
例えばラーメン店「支那そばや」創業者の佐野実さんとかだと、こだわりも強かった印象がありますね。
詳しくは、下記のウィキの

佐野実 - Wikipedia


の「こだわり」というところを見てみてください。

 

マナーには指向性があります(使い方あってるかな。。。)
つまり、マナーは誰かが誰かのことを考えて守らせようとするものです。
新社会人のマナーは、社会内にいると自覚している人たちが、その仲間入りをする人たちへ後ろ指をさされないために守らせるマナーです。
では、この立ちのみ屋のマナーは誰のことを考えて生まれたんでしょうか。
短絡的に考えると、店が店のことを考えて守らせているような気がします。


立ちのみ屋は回転率で勝負する儲け方です。

それを前提におくと、これらのマナーは回転率のことを考えているように見えます。
「少人数で訪れる」という一見儲けに反してそうなマナーも、単に大人数って1人客よりも時間がかかるので、そのスペースに入れたはずのさらに少人数のお客さんを断ることになるので機会損失になってしまいます。
それならば大人数な分、平均客単価の人数倍お会計があればいいですが、人数集まれば飲まない(飲めない)人が混ざる可能性も上がりますし、話をすることがメインになってしまい長いしてしまう場合があります。

よって少人数で訪れることが推奨されているのでしょう(たぶん)。
それ以外もお店側の回転率や儲けを考えると、確かにそうお願いする気持ちはわかったりします。


しかし、それを強要されるとお客さん側から反感を抱かせてしまうのも分かる気がします。
「なにゆえ、そちらの事情に合わせて飲まなければいけないのか」と。
「どうやって儲けるかはそちらが考えることであって、こちら(お客さん側)が意識することではないでしょう?」と。
実際、上記のような記事でコメントが付けられるようになっているサイトがあって、コメント欄にはそのようなことがたくさん書いてありました。

 

また上記のマナーにおいても、すべてが同じ対象者に向いてるとは思えません。
他のお客さんが迷惑になるから禁止しているものと、店員が営業しやしくなるからと思われるものが混在しています。
また人によってはとらえ方が変わりそうなものもあります。
個々のマナーについて考察したいわけではないので、この記事ではぶっちゃけどれでもいいんです。

 

今回注目したいのは、そのマナー群の中で店側が店のことを考えていると思われるマナーです。
私が今回主張するのは、「それらマナーは昔は、客側が、お店のことを考えて守っていた」ということです。
つまり店自身が構築したマナーでなく、お客さん側で構築したマナーではないかと考えています。
それがいつしか、店側からお客さんへ守ってほしいマナーへ変わってしまったのではないかと考えました。
今回は
① そのマナーたちが客側がお店のことを考えたマナーであること
② それが何を理由にして変わってしまったのか
を考察してみました。
最初に述べた不確定な仮定とは、これらについて語っていくときに登場します。

 

① そのマナーたちが客側がお店のことを考えたマナーであること


これですが、さっそく不確定な仮定が登場します。
こう考えた根拠ですが、サンプルが自分の周りにした45歳以上の酒飲みで、ここでいう酒飲みは週に3回以上外で飲む習慣がある人です。
このサンプルは、集めようとして集めたわけでなく、自分の両親、両親の知り合いの酒飲み、立ちのみ屋で6年バイトしていた時の常連さん、今現在のお店のお客さんから見聞きしたものです。アンケートとかとったわけでないです。
私の周りにいる人たちから集めたサンプルなので、仮定としては非常に弱いです。
なのでこの時点でブラウザバックしてもらっても構いません。


その方たちから、みなさんが上記のような立ちのみ屋のマナーを
・そのお店の常連さんに教えられた
・上司や目上の人にそのお店を飲みに行った際に教えられた
と聞いています。
つまりお店側にそのような注意書きがあったからでなく、身の回りの人に教えられて知ったらしいです。
実際、上記のようなマナーを書いた紙を昔は見なかったという方もいらっしゃいました。
もちろんお店の勝気なおばちゃん店員さんから、半ば叱るように教えられた経験を持つ人もいたりしたので、なにも全部がそうだとは限りませんが、そうではない上記のような経験から学んだ人は多いようです。


昔は、各お店に名物常連さんがいて、ご新規さんには、どのように飲むべきかをお節介ですが教えてくれたそうです。
ちなみにマナーだけでなく、そのお店のおススメ商品や良い注文の仕方も教えてくれたそうです。
上司や目上の人に教えられた場合も同様です。

もちろんですが、その常連さん・上司・目上の人はお店側から教えることを任されているわけではないと思います。
裏でそういったことを教えるように勧められた可能性もゼロではないですけど、
店の新規客獲得という場面で大事なところを、たとえ常連とはいえ責任もない客に任せるはずがないと考えられます。
つまりお客さん側が自発的に生み出した決まり事な可能性があります。

 

では何故、お客さんがそのようなマナーを生み出したかですが、お店のことを考えてのことだと思います。
深読みですが、お店には提供しやすいメニューと、提供に時間がかかる手間のかかるメニューがあり、先の注文の仕方を教えてくれるというのも、それらの提供事情を熟知した常連さんが考えた可能性があります。
お店側からしても提供しやすい品と提供に時間がかかるものをバランス良く頼んでもらえれば非常に助かります。
またこの場合は、お客さん側からしても、いつまで経っても料理がなかなかこないという事態を避けれます。

それ以外の回転率に関係していそうなマナーですが、これを守ることの客側のメリットはなんでしょうか?
これは、そのお店が儲かることで自分たちが飲める場所が残り続けるからだと思います。
回転率が悪くなって経営が傾けば、そのお店を利用することが出来なくなる。それを避けるためお店には儲かっていてほしいわけです。

 

もう一つの仮定ですが、昔はそう多く立ちのみ屋、ひいては飲食店が多くなかったのはないでしょうか。
これ調べようと思ったのですが、ググるのがへたくそで調べられませんでした。すみません。
よって、自分の利用できる範囲内にそもそも飲食店が少なく、もしご贔屓にしたいと思ったお店はお客さん側から守る必要があったのではないかと思います。


② それが何を理由にして変わってしまったのか


ではそのようなマナーをいつしか店側からお願いするようになったのはなぜでしょうか。

もちろん先に書いたマナーの部分集合を昔から明記していたお店があった可能性もあります。
単に意見を聞いた人たちがあたかもこれらのマナーが口語伝承されていると記憶を自己修正している可能性だって0ではないです。
ここでは以下のような要素が相互作用し、マナーを知る機会が減少していったと考えます。
・個人経営店の減少。またそれに伴った先の常連さんたちと出会う機会の損失
・上司と飲みに行く機会の減少
・チェーン店の増加
徐々に外で飲むのが珍しくなくなっていき、そこに商機を見出し、チェーンの居酒屋・立ちのみ屋が現れます。
昔は女性一人で飲むとかなり目立ったそうですが、今だとそこまでですよね。
まぁかなり大衆的な場所に若い女性一人だと今でも目立つでしょうけど。
チェーン店が増加すれば、個人店は安さなどでは負け、最悪潰れていきます。またチェーン店にしかない良さだってあると思います。
それによって個人経営店の減少。または先に個人経営店の減少があってチェーン化に拍車がかかったのかもしれません。
また上司と飲みに行く機会が減少し、そういったマナーやお酒の飲み方を知らないまま年をとった人もいたかもしれません。
それらの方をターゲットにして、チェーン系立ちのみ屋が流行ったことで30・40代でお酒にハマったが、マナーを知らない人もいたはずです。


チェーン店の増加のもう一つの影響が「自由なお店」の増加です。自由なお店とは大箱の騒いでも問題なし、多少お店に迷惑をかけても(少なくとも表面上は)問題なしなお店を指して、ここだけでそう呼称します。
後でも述べますけど、そういったこともお店に損害さえ与えなければ、お酒の場であれば何でもOKという認識が広がる原因の1つになったのではないでしょうか。
そういった惨事を目の当たりにしたチェーン店のバイトさんたちが新たにマナーを構築してくれれば良かったかもですが、「自分が利用するときは相手のことを考えよう」と思う人もいれば、「お客側になれば自分たちが普段笑顔で耐えているようなことを同じようなチェーン店にいった場合もしてもよい」という思考に進んだ人もいたはずです。
そして最悪なことに、たとえバイトでなくて社員であっても後者のような考え方を持ってしまった方が自分の周りにはたくさんいました。


途中からバイト先の飲み会に行きたくなくなったのも、それが分かるようになってからだと思います。もちろん私の周りだけの話しな可能性もあります。


よって飲食店に関わる人の総数は増えているのに、マナーを知る機会がなかった人たちが増えたのではないでしょうか。

現在自分の周りで45歳を下回る人からそういったマナーを知ってる方がぐんと減る現象に自分なりに理由をつけるため、そして上記のことの確度をあげるためチェーン店の増加について調べてみました。

 

居酒屋のチェーン化が始まったのは1980年代からだそうです。
ここはウィキを参考にしてきます。
まず以下のページにおいて、1980年代からチェーン化が進んだことが書いてあります。

居酒屋 - Wikipedia

各チェーンの店舗数の推移とか見れると面白かったんですが、いまいち調べられませんでした。。。


例えばモンテローザ関連で、「白木屋」さんを調べると1号店が1983年、そして100店舗達成が10年後の1993年です。
以下のページの「会社沿革」に載ってます。

会社案内│「居酒屋No.1」株式会社モンテローザ

次に「和民」さんについて調べてみました。別名の店舗も多く持っているので、「和民」という名前を持つ店舗について調べると
1号店が1992年、100店舗達成が1998年です。ただチェーン化はもっと前からしています。昔は「つぼ八」とフランチャイズ契約結んでましたし。
以下の沿革内の各年代ごとに店舗数が載っていたので参考にしています。

ワタミ - WEB版ワタミヒストリー -

では次に「鳥貴族」さんでいきましょう。
1号店が1985年、100店舗達成が2008年です。
以下の公式HPの会社沿革にそのまま載っています。

沿革 | 企業情報 | 株式会社 鳥貴族

次は「八剣伝」、「酔虎伝」、「居心伝」を展開する「マルシェ」さんでみると
後の「酔虎伝」となる店舗の経営開始が1972年、そして「酔虎伝」の100店舗達成が1986年です。
以下のウィキペディアにそのまま載ってます。他の店舗の推移を知りたい方は参考にどうぞ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7_(%E4%BC%81%E6%A5%AD)

 

よって1980年代後半にはチェーン店だらけになっていたようです。
もちろんこれ以外にも全国展開を狙った企業や地方限定で展開していたチェーン店だってあったはずです。
よって45歳以上の方はちょうどそれらチェーン店が増え始める前の時代を知っており、それらのマナーを知っていた可能性が高かったのではないでしょうか。


ちなみにチェーン店の増加だけが、個人店減少の理由ではないという意見も聞けました。
それは、バブル景気で、ちょうど上記のようなチェーン店が増加していたときバブル景気でした。
そのさなか、もっと儲けれる方法を知ったことでお店を畳む個人店もいくつかはあったそうです。
なので外からの影響だけでなく、内部的な理由でお店が減少した可能性もありますね。


ともあれチェーン店が増加しました。

チェーン店が増えたことが悪いことだけとは思えません。
外でお酒に触れる機会が増えたのは良いことだと思います。
ビール・焼酎・日本酒が飲めなくても、外で自分に合ったお酒を見つかられる機会が増えていると思います。
少なくともそれによって、その人のお酒に対するイメージは良くなったのではないでしょうか。

 

けれど、そのようなマナーを知らない人が増加する中で、昔と同じスタイル(売価・回転率等)で儲けを出すのは難しくなったのでしょう。
また仕入れ単価は年々上がっていると思います。昔よりお酒も高くなってきたし。
そして営業しているお店は当然ピンチになります。

ゆえにそのようなマナーをお店側から提示する必要性が出てきたのだと思います。
お暇であれば、ネットで立ちのみ屋の経営者や店長の意見・愚痴などを検索してみてください。
上記のようなマナーを知ってか知らずか、そういったお客さんを相手にして儲からないことを嘆いていることを結構見ます。
その状況でネットで叩かれたり既存客の減少を恐れて、マナーを提示するようなことを戸惑っている方も多そうです。

 

ただマナーを提示することが立ちのみ屋にとって最適解であったかどうかは微妙です。
そのような人が増えたならば、そのような人向けにビジネスを考えるという方向もアリです。
立ちのみ屋でどのようにすべきかはここには書きませんが(あまり思いついていないのと、もし思いついていたら自分のお店に活かせるのでこんなところには書かないよ)、
他の形態の飲食店ならば対策はすでに知っているのも含めて挙げることができます。


よく炎上している「お通しの有無」も、店側からすれば1つの対抗策としているのでしょう。
もちろんタダ同然のお通しで客単価を上げようとしているお店もあれば(まぁチャージの代わりですね)、提供時間を待ってもらうためのつなぎとしておもてなしの精神からキチンとしたものを提供するお店だってあります。


他にもお酒を薄くして単価を下げたり、お客さんを上手く利用して人件費を下げたりと、良いか悪いかは別として対策はあります。

 

 

ここまで書いておいて、当初の目的のカッコいい酒飲みについて考えていきます。
人によって「あの人、カッコいい酒飲みやなぁ」という定義は違うと思います。


「色んなお店をたくさん知っている」はどうでしょうか?確かに経験値が多そうで、色々と美味しいお店も知っていそうです。
でも個人的には微妙です。だってお金があれば成れるもん。

ネットを見ればどこにお店があるのかなんてすぐに分かります。
有り余る財力を活かしてお店に行きまくれば上記の称号は手に入ります。
食べログ等を使ってスタンプラリー的に飲食店を回るのも、ポケモンGO的な楽しさはあると思うのですが、個人的にはカッコいいと思いません。


また自分のお金ならばまだマシですが、人のお金ならなおさらかっこ悪いなぁと思います。
自分のお店の近辺には、「奢られ目的」の人たちがよく出没します。まぁナンパも兼ねた「奢り目的」の人たちもいるんですが。
そういった人たちの方が、私よりもお店に行くという経験値を貯めるのは楽そうですが、個人的には「うーーん。。。」と思いますね。

 

では「お酒をたくさん飲める」はどうでしょう?
これならどんなお店であれ、(儲かるので)歓迎される存在です。

でもお酒の許容量ってある程度先天的な要素があります。
この定義で行くと日本人は比較的お酒が弱い民族なので、日本人である時点でかっこ悪くなっちゃいます。
ここでいうカッコいい酒飲みが後天的になれるものであればいいなと個人的には思うので、これも定義としては不十分かなと思います。

 

では「お酒の知識が豊富」はどうでしょう?
どうせ機械には記憶力で勝てないだろうしなぁ。

利き酒に関しても機械が「舌」を手に入れれば人間の利き酒なんですぐに負けそうです。
それにお酒を楽しんでいる最中に、蘊蓄ばっかり聞かされても嫌ですよね。

もちろん知識がある人が喋りたがりとは限らないですが。

 

「よく行くお店をいくつも持っている」はどうでしょう?
常連さん扱いしてくれるお店が多いってことですね。

これも良さそうな気がするんですが、個人的には微妙かな。
さっきの財力にも依存するし、仮にこの主張と矛盾しない「一定のお店を毎日ローテーションしている」という状態だったら、新しいことに挑戦していないって時点で微妙かなぁと。
それにお店側がめんどくさいし正直良くは思ってないけど常連さん扱いしているパターンもあります。
1度目上の人に、なじみの店だからということで連れて行ってもらったお店で、本人とお店側ですごい温度差を感じたことがあったので、多分このお店によく通ってて覚えられているだけで、別にいいお客さんだとは思われていないだろうなと。

 

ここまでのことから、「僕が考えた最強の酒飲み」の定義は「どのような形態のお店でも、そのお店に合わせた対応・マナーが出来る」になりました。
これはマナーを提示していなくても、(間違えることもあるかもしれませんが)
そのお店での過ごし方を自分なりに考えられるとカッコいいなと思います。


立ちのみ屋も千差万別ですから、最初に上げたマナーが必ずしもすべてのお店に当てはまるわけではありません。
それに立ちのみ屋のマナーが、他の形態のお店に当てはまるとも限りません。


今はもう見なくなりましたが、昔の牛丼屋チェーンの松屋松屋を愛する良いファン(通称マッツァー)の5chのスレには必ず以下のようなコピペが貼ってありました。

一、店員に食券をそっと渡す。(この時食券は表側にする。)
一、店員が注文繰り返したら返事をする。
一、お茶が出ていなかったら「お茶をいただけますか」と言う。
一、お冷が欲しいときは「すいません、お冷ください。」と言う。
一、メニューによって出来上がり時間が違うこと心得る。
一、料理が来たら「いただきます」と言う。
一、サイドメニューが出ていなかったら「すいません、○○が来てないんですけど」と言う。
一、残さず食べる。
一、食事が終わったら食器を重ねる。(皿、丼、椀、子皿の順番で。割り箸と紙ナプキンと半券をまとめる)
一、店を出るときに「ごちそうさま」と言う

ここの下から2番目「食事が終わったら食器を重ねる。」がありますが、一見店員さんの作業を減らしているのでどのお店でも通用するようなマナーですが、これは間違いです。

高級店ならばお皿も高価です。重ねたことによって下に敷かれたお皿は傷つく可能性があります。
それならば勝手に重ねたりせず、テーブルが狭くなれば店員さんを呼ぶ方が正しいと思います。
また高価な食器を使っていなさそうなお店であっても、バッシング(お皿やグラスを下げること)の手間は省けますが、必ずしも推奨されるとは限らないと思います。


立ちのみ屋バイト時代、灰皿に吸殻以外のゴミ(絞り切ったレモンとか、使ったナプキンとか)を最後にまとめる方が何人かいらっしゃったのですが、これも一気にゴミ箱に捨てれて手間が省きそうなんですが、当店においては立地している商業施設全体の決まりで、吸殻と普通のごみを分ける必要があったので正直よくわからないごみをわざわざ手で触って分けるのはめんどくさかったです。

それならばバラバラに分けて置いてくれた方が楽だったなと。
もちろんそういったことも含めてお給料もらってるわけですから、それくらいで嫌な顔はしませんでしたが(自然と出てたらごめん。。。)、良い気分ではなかったです。


なので、どこかで喜ばれた気遣いが必ずしも他のお店(同系列の別店舗でも)でも喜ばれるかは分かりません。


また前にTwitterでつぶやきましたが、「この前言ったお店、○○な感じでチョーおすすめなんでみんなに届いてほしいです!」みたいな飲食店の情報を拡散させることは一見お店の認知度をあげる意味で良いことに思えますが、お店側が望んていない可能性だってあります。
どのお店もお客さんが増えることは基本良いことですが、キャパを超えては意味がありません。
一回しか来ないような新しいもの好きのお客さんに対応に追われて、常連さんに今まで通りのサービスを提供できなくなったり、また忙しくなりすぎて店員が体を壊す可能性もあります。そういった経緯で「予想外に流行ってしまった」ことで潰れてしまったお店も多々あります。
もちろんお店側が「拡散希望!!」とかやってれば協力するのは良いことだと思いますが、必ずしもどのお店も今以上にお客さんが来ることを
望んでいるかどうかは分かりません。

 

 

どんなお店に行っても、自分・他のお客さん・店員が気分よく過ごせるようによう意識して、どのような大衆店・高級店にいってもお酒が飲めるなら、それはカッコいい酒飲みではないでしょうか。
これなら先に上げた定義たちと併せるとよりかっこよくなっていきませんか?
これならば財力が乏しくとも、お酒が少ししか飲めない人でも実践できそうです。
それにこれを続けてると自然とお会計以上のサービスをしてくれるお店だって出てきますよ。
私は就職が決まった後、お金に余裕が出来たのでたくさんの馴染みのお店に行きましたが、どのお店も就職祝いにサービスしてくれました。
当たり前ですが祝ってほしくて就職したことを伝えたわけでもないです。

でも普段から良い関係をその店員さんと築けていたことで得られたサービスだと思います。
そういったサービスがしやすい個人店に対してだけのメリットかもしれませんが、私がバイト時代の時に、金銭・物質的にサービスすることは出来ずとも、それ以外の方法で、こちら側が良いお客さんだと思っていることをアピールする方法を考えたりしました。
具体的な方法としては、そのお客さんの注文のパターンや食べ物の好みを覚えておいて気に入ってもらえそうな商品があればおすすめしたり、そのお客さんが苦手そうな別のお客さんがいたら近くにならないよう案内を配慮したり。

 

ではどのようにすると店員さんが気持ちよく仕事しやすいか知りたかったらどうすればいいでしょうか?
簡単です。店員さんに聞けばいいんです。

「食べ終わったお皿はどうすればいいですか?」とかね。
あと先ほど触れたSNSに関しても、どうしても感想を共有したくなったら、そのお店に行ったことをネット上に書き込んでいいかどうかもあらかじめ聞いておくと親切だと思います。

 

これにプラスして、良いお店かどうかを店構えだけで判断出来る勘のようなものが備わればいいなと個人的には思いますが、こればっかりはセンスのようなもので自分で磨くしかないようです。
以前感心した5chのレスを載せておきます。
以下の「★大阪ミナミの地元でも評判の居酒屋教えて★」スレにて

★大阪ミナミの地元でも評判の居酒屋教えて★

1名無しさん@お腹いっぱい。04/09/16 23:16:42id:Ua20THFK>>12>>20>>48
今度大阪へカップルで旅行に行きます。
ナンバ近辺で、地元でも人気のある居酒屋教えてください。
あまり若者チックでなく、どちらかと言うと、田舎くさい
ような店が好みです。くいだおれの居酒屋は地元民は
あまり行かないとも聞いてますが ここはどうでしょうか?

 

に対し

 

4とりあえず正宗屋でも行ったらどうだ?04/09/18 09:45:05id:mAHFN/DI
どうして何でもかんでも人に聞こうとするんだ、
第一あなたの味の好みが解らないんで教え切れない!
店を外から見て中身を見抜くのも修行のうち(修行でもないか?)
そんなことしてたら新しい町へ行くたびに新しいスレを立てなきゃならん事になるぞ。
まずは5感+第6感で自分が気に入る店が見抜けるように訓練すること。
入ってみてダメだったら、すいません間違えましたとか、ビール1本飲んで出てくるとか、
気に入らない客には長居してもらいたくない筈だから店も怒らないと思うよキット。
思わぬ店に入っちまって、気付いていなかった自分の好みを見つけるという
別の意味での楽しみもあるのでは?

 

そうは言いつつも正宗屋を進めてあげてるのは優しいなと思っちゃいました笑
ちなみに正宗屋だと、色んな店舗の中でも千日前通りで日本橋近くにあるお店がおススメです。
おっちゃんばっかりなんで若い子だけでいくと浮きますが。
「カステラ」という謎料理がおすすめです。

 

 

最後に。
カッコよさは自分の内側に向かうものじゃないかなと。

カッコいい酒飲みの定義は人によって異なります。
だからここでいうカッコよさを他人が実践してなくてもなんとも思いません。
ただこういう風に私は公言した以上、もし自分がそのような飲み方になっていなかったら指摘してほしいです。
そしてそういったカッコつけることが出来なさそうでない夜は家で1人でおとなしく飲むことにしましょうか。

でもなんでわざわざこんな記事書いたんやろうねオレ。。。

数ⅢCでほぼ0点の私が、なぜ数学を好きになれたか

この記事を推敲したものを

note.com

へ移行しました。良ければそちらをご覧ください。新しい記事もnoteで書いていこうと思っています。

 

ここからが記事本文ーーーーーーーーーー


お店を始めてから「なぜ数学科へ進学したの?」と聞かれることが多くなりました。
質問してくるのはお客さんが多いです。
おそらく「立ちのみ屋の店長」との組み合わせとの珍しさもあるのかもしれませんが、
単に世間に数学科卒が少ないので、気になるのかもしれません。
数学科に進学した、もしくは卒業した方ならば20回は軽く聞かれた質問だと思います。
大抵、質問者が彼ら自身の中に用意している答えは「高校時代から数学が得意、ないし好きだったから」だと思います。
質問したくなる理由としては、中学・高校時代ですらしんどかった数学を大学以降も学ぼうとしたことが理解できないというのをよく聞きます。
そんな前提をおいて質問されたとき、私個人の答えはかなり時間を要するくらい長くなってしまいます。
つまり私自身が高校時代は数学は苦手だったし、楽に良成績や単位がとれたわけではないからです。
お店にてその質問者とマンツーマンならばお酒入れながらお話しすることも出来るんですが、他のお客さんがいて注文が立て込んでいたり、洗い物がたまっていたりした場合、どうしても後回しにせざるをえず、相手が物好きな方で全部を知りたかった場合には非常に申し訳ないなと思います。
もちろん商売上手ならお話を小分けにして次回来店のきっかけにするんでしょうけど、
そういったテクニックはひとまず置いておき、もし「文章でもいいから教えてくれませんか?」と言われた場合のリンク先として書いてみることにしました。
それとたまには自分の歴史の一部分を整理してみるのも悪くないと思います。


今回の記事のタイトルは「数ⅢCでほぼ0点の私が、なぜ数学を好きになれたか」
です。
最初はシンプルに「数学と私」という題名だったのですが、オムライス屋さんみたいだったので、ライフハックものみたいではありますが、変更しました。


事実、高校3年生の計8回の数学Ⅲ・数学Cにて私は計15点しか取れてません。たった1回のテストでのスコアではないですよ。。。
つまりほとんど0点です。。。
しかしそれから大学の数学科に進学し、留年・浪人もすることもなく(それが大事とは思わないけど)修士課程に進んで集合論の基礎の基礎の基礎の…の基礎を勉強することが出来ました。
今回は、タイトルから連想されそうな「数学が苦手な子でも修士集合論を勉強する方法」を紹介するわけでなく、どういったいきさつがあったのか振り返ります。
一言が言えば奇跡的な出来事が多いわけですが、どのような機会にどのような奇跡に巡り合えたのかをリストアップして、自力と他力の区別をつけることで見えてくる自分の長所・短所があると思いました。
そんな「自己分析」にお付き合いいただければ思います。

 

おせっかいでしょうが1つ注意点をあげておくと、それくらい高校時代の数学が出来なくても、集合論は勉強できるという意味ではないです。
読んでいただけると分かると思いますが、大体は高校数学ができなくて大学でも困ったという話が多いです。。。
しかし高校数学が苦手でも、数学のどんな分野でも挑戦できるということをアピールしておきたいです。


もとにあった質問に答えるために出てくるエピソードは4つあります。
① そもそもそんな成績の高校生が何故数学科に進学できたのか
② ①のさいになぜ進学先として数学科を選んだのか
③ そのような高校生がどういった大学生活を送ったのか
④ その過程でなぜ集合論に興味をもったのか


順に振り返ります。

 


① そもそもそんな成績の高校生が何故数学科に進学できたのか
この答えは簡潔に言うと、エスカレータ校に通っていたからです。自分が通っていた中学校は中高大一貫校で、中学受験でその高校に入ってさえしまえば、ほぼ自動的にその大学に進学できるという学校でした。
現在は付属校が増えたので、その中学に入っても「ほぼ自動的」とは言えないそうな。
あと2,3年生まれているのが遅ければ、他の付属校の生徒にその椅子を取られていた可能性がありますね。


小学校時代、特に中学受験を意識せず算数・国語の復習・先取りのために塾に通っていた自分に母が囁いた一言
「中学受験でとある中学に受かれば、あと10年間受験もなく遊べる」にめんどくさがりの自分は惹かれてしまい、
小5から中学受験コースへ切り替えることにしました。
それ以外にも仮に地元の中学に進んで、高校・大学進学を目指した場合、どのテストも英語が増えているとも囁かれました。
つまりたった1回の4教科のテスト、つまり中学受験に合格した場合の結果は、子供心ながらかなりお得に見えたわけですね。
なので今まで中学受験と大学院受験しかしたことなくて、いまいち大学の偏差値とか大学受験の辛さとか幸か不幸か未だによく分からないです。


さてその高校の大学への内部進学のシステムですが、定期テストの結果の良い順に志望した学部・学科に進学できるというものです。
仮に志望した学科が定員に達していた場合、あぶれた生徒は第2希望の学部に関して同様の順位付けを行われるといった形です。
ただ理系クラス出身者は文系学部を志望することが出来ますが、逆は出来なかったはず(単に比較するさいに使用する教科を文系クラスは履修していないから)。

ちなみに数学もひどかったですが、他の教科もひどく、まともに平均点を超えれるのは現国のみといった状況で、理系クラスの中でワースト3位だったと思います。

たしか前後3人くらいは進学できなかったはず。

何故そんなに成績が悪かったのかいうと単に勉強する気がなかったにつきます。。。
部活を言い訳にして勉強を特にしてませんでした。
数Ⅰ・Aくらいまでは無勉強でも点数が取れていたのですが、数Ⅲとかで極限やら微分やら積分やらがでてくるとさっぱりでした。
単なる勉強不足と、下手なりにきちんと理解しようとしたことで(この極限ってなんやねん?みたいなやつ)理解も出来ず、公式を上手く使うこともできず点数が下がっていきました(というよりずっと0点で横ばい)。

 

理系クラスのみが進学できる学部の1つ、システム理工学部、その中に4つの科があって
機械工学科、電気電子工学科、物理学科、数学科がありました。
ちなみに上記の順番は第1希望が多い順でもあります(当時ね)。
そう数学科は我が母校の内部進学希望者にとって最も人気のない学部だったわけです。
話が少し見えてきたのではないでしょうか?
実は数学科志望者は人気がないどころか0人だったのです。
つまりワースト3位の私でも、数学科を志望すれば、志望者内で1位だったわけですね。

 

ここからは憶測なのですが、おそらくその成績ではいくら志望者内1位であっても断られていたのではないかと思います。
ではなぜ入れたかというと、内申点的なものが存在して、それを加味してねじ込めたのではないかと思っています。
幸い頑張っていた陸上部では、部長をやって、人数ギリギリの8人で自分も含めてスポーツ推薦などもない素人同然の部員たちで近畿駅伝に出場できたこと(つまり大阪で6位以内になったこと)というエピソードが推薦状的に上手く使えたのではないかと考えています。
もちろん先生から、「そういった経験があるから有利だ」と言われたこともありませんし、勝手な推測です。
ただ私の上下3位くらいの生徒が、帰宅部もしくは入部するも途中退部していたので、自分が進学できた理由を考えた時の私の中での辻々合わせとなっています。

 

ともあれ私は母の甘言通り、6年間部活(中学はソフトテニスでしたが)とPS2PSPGCとGBSPに打ち込み成績を落としていったにも関わらず見事数学科に進学することが出来ました。
ちなみに陸上部の名誉のために言っておくと、他の部員たちは定期テストでもきちんと点数は取っていました。

 

 

② ①のさいになぜ進学先として数学科を選んだのか
じゃあこの答えは簡単ですね。そんな自分でも進学できる唯一の学科だったから。
ではありません。
これは信じてほしいとしか言えないのですが、そんな状況とは関係なく数学科を志望していました。
数学科を志望すれば、とりあえず浪人などはしなくて済むということは数学科を志望した後に知ったことです。
最初は何を血迷ったか機械工学科でしたからね。
高校3年の夏休み開始までに大体の志望学部を決める必要があり、その志望結果から微調整(第1志望が無理そうな生徒を第2志望へ誘導)することになっていたはずです。
それを控えたある日、家でピコピコしていると両親から面白いテレビ番組が放送されていると聞きリビングへ。
そこで(おそらくn回目の再放送だと思うけど)、『ポアンカレ予想NHKスペシャル|100年の難問はなぜ解けたのか ~天才数学者 失踪の謎~』
と見ました。
興味を持った方はNHKアーカイブでもまだ見れると思いますし、DVD化もされてます。


ちなみに自分が関連書籍の中で面白かったのは

完全なる証明 | マーシャ・ガッセン, 青木 薫 |本 | 通販 | Amazon

ですね。

 

ペレルマン自身の軌跡(まだ存命ですが)として非常に楽しく読めます。
これの感想文を書きだすと長くなるので、またいずれ。。。。。


このドキュメンタリーを見たとき、
今自分が面白くない・楽しくないと思っている「数学」と違って見えて非常に面白そうと感じました。
当時、数学が数式や記号にて事象を表現する学問だと思っていたわけですが、番組内で丁寧なCGで作られた位相同型な図形変形の様子は直感的には理解できるものの
数学者が扱っているからには、その現象も数式や記号で表記されているはずだと思いました。
仮にそうだと仮定して(実際そうなんですが)、そういった数学は自分が知っている「数学」よりも
魅力的に映ったわけです。どうやって数式・記号に表して扱うんだろうと。
しかもポアンカレ予想が数学の中の「位相幾何学」という1分野の話に過ぎないということは、それ以外の分野にもそれと同じ、それ以上の面白い対象があって
その事象をやはり記号・数式で表現しているはずです。
もし大学以降の「数学」がそういった学問ならば勉強してみたいと思いました。
事実、その感想は当たっていて大学以降の数学は私が夢見たもの以上の面白さでした。
ペレルマンに、そのほかに登場した数多の数学者に憧れたわけではなく、自分の中で初めて勉強してみたいと思えるものに
出会えた瞬間でした。

 

その番組を見た後日、担任の先生のとこへ相談にいきました。
その担任の先生は数学Ⅲの教科担当でもあったので、私に5点くらいしかくれなかった張本人です。
その先生に志望学科を数学科に変更したいこと、その経緯(上記の感動話)を伝えました。
「先生のテストではよう点数とれませんが、もし高校と大学で数学の内容が異なっていて、こんな私でも入り口が開いているならば入学させてほしい」と。
ちなみに高校と大学の数学が異なっているというのは高校生の私の勘違いです。
確かに内容や雰囲気はガラッと変わっていますが、高校までの数学は大学になっても重要です。
あとで当の本人が苦労するのでお楽しみに。

 

その折、内部進学者向けのオープンキャンパスが開かれます。
数学科の内容は「素数の個数が無限であることの証明」でした。これ以外にも何か話してた気がするけど忘れちゃいました。
当然興味深々だったので、最前列に座りワクワクして座っていました。
自分の直感(大学から数学が面白くなる)が正しいかどうかわかるからですね。
教室を暗くして、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)での講義でした。
今思えばなんでそんな器具使ったんだろうと思うんですが。。。
そんな中でど素人の自分でもわかるような前提から、論理を積み上げていって証明をしていく。
暗かったのと、昼ごはん後ということと、元々志望してないということで、結構な人数が寝てましたが、そんな中自分は最後まで覚醒したままで、終わった後は結構興奮してました。
おそらく全国にいっぱいいる数学少年・少女にはとっくに味わっていたであろう感動を私は18歳にしてようやく感じることができたわけです。

オープンキャンパス後でも私の数学科志望は変わらず、他の生徒の数学科への関心も高まることなくがなかったので見事内部進学者中1位という好成績で数学科に進学にすることになりました。

 

 

③ そのような高校生がどういった大学生活を送ったのか
さてそこから数学に目覚めて、メキメキ数学力を上げていく物語かと思いきや、やはり高校数学ができなかったことでいろんな苦労をします。

どうしても内部進学者と外部の一般合格者との学力の違いがありすぎるので、春休みには内部進学者向けの各理系教科を遅れを取り戻す短期講習がありました。
私はあんまり真面目に受けてませんでした。
テキストに書いてある内容が高校と代わり映えせず、(地続きであることも知らず)大学数学じゃないならいいやみたいな態度でした。

 

あとは大学進学の際に両親から出された条件として「学費以外の資金は自分で稼ぐ」といったものがあったので、大学入学が決まった瞬間からバイトに明け暮れていました。
最初は塾講師から始めました。講師になるためのテストは散々な結果でしたが、小学生とかを中心に教えるならといった感じでしぶしぶ受かった感じです。

あまり進学意識が高い地域でなかったので幸いにも私に高校数学を教えられたかわいそうな高校生はいませんでした。
中学までは数学は成績良かったからね。。。
その後は梅田の立ち飲み屋(これは修士を卒業するまで6年続けた)、店長が電話に出てくれないコンビニ、ヤクザと風俗嬢がよく来る深夜営業のお好み焼き屋さん、
自分の中で経団連に悪い印象を与えただけだったホテルの給仕の派遣など色々やりました。その話はまたいずれ。。。

 

そんな感じで春休みを過ごしていて迎えた入学式、そしてオリエンテーション
配られた学生証をその日に財布ごと無くして学生課のお姉さんに苦笑されました。


そしてオリエンテーションn日目は、まさかの?抜き打ち実力テストでした。
90分のテストで、主に入試問題と同レベルの内容でした。
当然内部進学者向け講座も真面目に受けていなかったのでまったく解けず。
粘っても仕方ないということで(というより友達を食堂で待たしていたというどうしもない理由で)、全て未回答の白紙で席を立ち、テストの試験監督をしていた教授へ提出しに行きました。
ちなみにその教授がオープンキャンパスで講義していた方でしたので、顔だけは知ってました。
そして提出した答案用紙を眺めて、先生の顔が曇り、一言「これじゃあ君は(卒業に)8年かかるよ」と。
何も返す言葉が見つからず「これから頑張ります」とだけ伝えて教室を出ました。

 

話が脱線しますが、私と教授とのそのやりとりは他の学生に聞こえておらず、
私がものの15分で席を立ったので、1回生の夏休みくらいまでは私はかなり数学ができるやつとして認識されていたそうです。。。
ほとんど他の数学科生と話したりもしてませんでしたから、うわさが独り歩きしていたようです。

 

そして4月の中盤より通常の授業が始まります。
当数学科では1回生は、微積分学、線形代数、コンピュータ数学(みたいな名前)、数学概論(みたいな名前)が必修でした。
それ以外には英語と第2外国語と、希望者(私以外全員)は教員免許用の授業でした。
私は教員免許用の授業は履修しませんでした。
理由としては頑張れば2回生からでも単位がとれると聞いていたので、塾講師のバイトを1年間やってみて、教員に興味を持っていたら2回生から履修しようと考えていたからです。
結局塾バイトを1年間続けてみても教員志望意欲は沸かず(もちろん塾講師と教職員は違うと思いますが)履修することはなかったです。そういった面でも他の数学科生との交流は少なかったですね。
微積分と線形代数は他の理工学部生と同内容だったので、まだ計算中心の内容でした。
数学概論みたいなやつは各先生が3コマくらい与えられて思い思いの数学の講義をするみたいな感じの授業でした。
コンピュータ数学は、計算ソフト(maxmaとか)を触ったり、texを打ってみたりといった内容です。


一番楽しかったのは、そのコンピュータ数学で、tex打ちにめちゃくちゃハマりました。
自分でtex用のノートPCをバイト代で購入し、美文書作成入門を買って、インストールで躓いて、先生に一から手伝ってもらって。
ちなみに私のITスキルはかなり低くctrl+cとかのショートカットを使いこなしだしたのは修士を卒業してから。
それまではかなり泥臭いコーディングをしていて、今思えばよくそんなスキルで40ページくらいのまとめノートを作ったなぁと。
ともあれ字が汚い自分でも、きれいな数式を紙に出力できることに感動しました。
なのでその授業は余裕で好成績をとりました。
それからも自分でまとめノートや定義集を作るため、texは毎日のように使ってました。

 

当数学科には、それ以外に「1年限定担任制」みたいなシステムがありました。
例年学科生は20から30人。教員は10人強でした。その教員1人ずつに1回生を2から3人ずつ割り当てて面倒をみるというものです。
ただし面倒の見方は教員に裁量があって、週に一回世間話(ちゃんと授業は出ているか?分からないところはないか?と聞くとか)をするだけの教員もいれば
課題を出したり、セミナーもどきをやる先生まで様々でした。


私の担当になったのはなんと「8年かかる宣言」をした先生でした。
その先生の基本方針は週に一回、その週の微積線形代数の内容をおさらいするというものでした。
他の先生に比べたら重い内容でしたので、他の同じ担任を持つ生徒は他の楽な担任の生徒を羨ましそうにしてました笑。
しかし、私の遅れ具合を知っている先生でしたから、私はそれに加えて週に1,2回高校数学を復習するマンツーマン授業をしてもらっていました。
これ、今思うとかなりありがたいことです。
この高校数学復習授業は夏休みも関係なく行われ、私は夏休みも学校に通って、対数関数とか、数列の総和とかそういった抜けていた知識をたくさん丁寧に教えてもらえました。
そのかいあって、1年後期の成績では(内容が高校+αくらいの内容だったというものあって)そこまで周りの学生に遅れをとることはなかったです。

 

数学以外では学びたい授業を学びたいだけ学べる一般教養が楽しかったのを覚えています。
一回生前期に履修した「人類学」(阪大の先生が教えていたはず)は最高でした。今からでも数学科から転部しようと思ったくらい。
中には個人的にイマイチな授業もあったけど、文系理系えり好みせず、単位の取りやすさも、GPAが下がるのも気にせずいろんな授業を受けてました。
これは4回生まで続きます。
大きな図書館に、そういった授業の数々があったことで、サークルや体育会には所属しなかったけど毎日充実してました。


さて2回生になりました。
ここでのちの大親友となる「お酒」に出会います。彼もしくは彼女がなかなかこちらを嫌いになってくれないので今日までほぼ毎日飲んでます。
飲まなかったのはドクターストップがかかった時と何かの締め切りに追われて徹夜をしなくてはいけない時くらい。


1回生から始めた立ち飲み屋のバイトにも慣れ始めて、そのバイトがなかなか時給が高かったので普通の学生よりは稼いでいたのもあって経済的も潤ってきました。
そしてそこから自分で授業に関係ない本を買うということを本格的にやりだした気がします。

 

ここから数学科の授業もより「数学」らしく、つまり私が高校生の頃に夢見たものに近づいていきます。
2回生でも数学科は微分積分線形代数の授業は必修であって、内容は1回生のおさらいをしつつ、より数学科らしく証明を多く、抽象度をあげていくような感じでした。
ここで数学科名物の1つ、εδ論法が登場しました。
そして「集合と位相」という教科も必修で始まりました。
そこでもう一つの名物、位相空間論が登場します。
体感では半分くらいの学生がεδ論法位相空間論で(数学そのものから)脱落していきました。
そういう生徒はなんとか過去問を入手して、わかっているのかどうかわからない証明で部分点をとって卒業していきました。

 

ここで逆に自分は成績が上がりました。特に「集合と位相」に関してはほぼトップだったはず(過去を美化してる可能性有)。
当然私にとっても難しかったのですが、高校でのあやふやな「極限」というものも理解できるとチャンスだと思えばむしろやる気がでて、
自分でεδ論法のことだけ書いてある本を買って格闘して、そもそも論理式を読めてないことに気付いて数学のお作法の本を読んだりしていました。
そういうことを1人で続けているうちにある日、「だんだんとその値に近づいていく」という事柄をεδ論法は表現できていることが、
自分の中にしっかりとした形で理解できた気がしました(気がしただけ)。
証明に使えるレベルまで理解が進むのはもう少し先でしたけど、自分の中ですごく腑に落ちた瞬間があったのは覚えています。
その経験から、「数学」では定義が頭に染み込むまで反芻して、イメージが付くまで証明を眺め、実際に手を動かしていくことで自分のものになっていく、ということが分かりました。ここまでくれば位相空間論だって怖くありません。
ここでさらに「数学」が好きになるとともに、高校生の頃の自分の選択は(少し数学について勘違いしていたけど)間違っていなかったことが分かりました。

 

それからは授業以外にもたくさんの数学に関わるものについて読むようになります。
まだ数学書を一人でコツコツ読んでいく力はなかったので、簡単なものから。啓蒙書とか数学史の本とか。
その中で「数学者は必ずといっていいほど少年時代に未解決問題に自分なりにチャレンジした経験がある」という記述を見つけました。
やや世の数学少年・少女よりは周回遅れ感がありましたが、自分でも何かにチャレンジしたくなります。


2回生の夏から1つのチャレンジを開始します。テキトーに未解決問題を選んで、それが現在までどれくらい進んでいるかを調べることなく(つまり一切ググらずに)
半年でどこまでいけるかやってみるというものです。
手が付けやすそうな(定義が簡単って意味)問題の方が良いと思い、図書館に行って『数論「未解決問題」の事典 』を借りて
おもむろにページを開きます。
そこで載っていたのが「完全数」関連で、ちょうど「奇数の完全数は存在するか」と書いてありました。
完全数の定義だけ確認して本を閉じ、問題にチャレンジを開始しました。
半年後に知ったんですが、この「奇数完全数の存在性」問題は、数学の中でも最古参な未解決問題で2000年以上解かれてない問題です。
そういった先入観もなく、自分なりにやり始めました。
ある段階で、剰余群に近いものを自分なりに定義して使っていました。
3回生くらいの群論の授業にて、剰余群が出てきたときにはまた1つ感動しました。自分が編み出した(つもりの)概念が、実は数学界の常識であったこと。
それを教えられるのではなく自分で見つけられたこと。
ちなみに半年では形にならず最終的に自分の中で結果が出たのは3回生の夏のちょっと前くらいでした。
どのようなことをやっていたかというと奇数全体を、その素因数分解後の形から100パターンくらいに分けて
その1つ1つが完全数でないことを証明していってました。その中でどうしても完全数でないことを証明できない形が1つ見つかります。
つまり「奇数の完全数が存在するならば、○○な形をしている」という定理を示したことになります。
当然、この未解決問題を解決することは出来ませんでしたけど、自分なりに結果が出たことを喜びました。
あとはこの泥臭い証明を、省略もせずtexで100ページくらいの論文にしました。
いよいよ答え合わせです。森羅万象・全知全能の神、Googleで「完全数」を検索し、今現在どこまで進んでいるのかを調べます。
なんと同じ定理がありました。誰がいつ証明したのか。
オイラーが100年以上も前に証明していました。しかもたった2ページで。
でも落ち込むどころか「やっぱりオイラー、すげぇ」となり、この自分の証明は数学界にはなんら益をもたらさないけど(使っている道具もオイラーと同じだったので)
1つの達成感がありました。

 

ここで1つ疑問に思います。
こうも解けないのはよほど難しい問題なんだと。自分とは比べようもない、はるかに上の能力がある数学者たちがよってかかっても、この問題はどのように解いたらいいのかの糸口すら見つかってません。
ちょうど「集合と位相」の授業で「連続体仮説」の話を聞いたのを思い出します。集合の濃度の章の最後でちらっと登場したあの話、講義を担当する先生の専門分野でなかったため説明も明瞭でなかったので、はっきりとどのような結末を迎えたかは理解できませんでした。
そして適当な本を開きます。すると「連続体仮説」は決定不能であると書いてありました。
つまり証明も反証もできない命題であり(当時ZFCって名前も、ZFCが無矛盾ならばという前提が必要なのも知らなかったけど)
そういった可能性が現存の未解決問題にもあるならば、完全数の問題だってその可能性もあると感じます。
そうなると決定不能というのはどうやって証明したのか気になります。
少し公理的集合論に近づきました。


3回生になりました。
本格的に数学科らしい授業、解析学代数学幾何学が始まり、より脱落者が増えていく中、自分は今まで以上にハマっていきます(二日酔いも遅刻も多かったけど
特に成績を心配する必要はなかったです。数学に関しては。
1つ一般教養系の単位が足りず留年しかけましたがそれはまた後の話。


このころから、大学の外の世界が気になりだします。
自分が気になっている数学は「数学基礎論」「数理論理学」に属することは図書館で調べて分かりましたが、自大学にはその数学の研究者もおらず、
なかなか自習するのも当時に自分にとっては難しかったので、大学院に行くことも視野にいれました。
またTwitterなるものもこの時は存在くらいしか知らなかったです。SNSデビューは遅かったですね。
その折で「数学基礎論若手の会」という勉強会があることを森羅万象・全知全能の神、Googleから教えてもらいます。
この勉強会は毎年場所を変えるので、仮に関西から遠ければ参加を諦めるところでしたが、なんとその年の開催地は奈良。
すぐに参加申し込みをしました。
ここからかなりの恥ずかしいエピソードなんですが、
幹事の先生から、発表者が足りてないと聞き、なんと数学基礎論と全く関係ない2回生の頃に見つけた完全数の発表をしました。
これ今思えばようやったなと(空気の読めてないという意味で)。専門家も多く参加する勉強会で、まったく関係ない数学の発表をしたわけですから。。。
これからは自分がそういう発表を聞く側になると思いますが、当時の自分っぽい学生がいたら暖かい目でみてあげてしっかりフォローしてあげたいです。ほんまに。

 

外に目を向けだしたのと同時に色々な数学系の発表を学外で聞く機会が増えました。
それを見たとき、自分も勉強したことを周りに発表してみたいと思います。
このとき、とあるイベントで出会った人と、所属大学・専攻分野関係なく、自身の専攻分野の面白さをプレゼンしあう交流系イベント「学問分野を知ろうの会」を運営する
「関西学生学問研究会」を立ち上げました。そのあと協力してくれそうな人を集めて修士課程が修了する3年くらいの間に系10回ほどイベントを開きました。
ほぼ毎回、非数学系を意識してプレゼンしてみる経験をここで積めました。
ただ今思い返すと、まだまだへたくそだったなと思います。自分の中でプレゼン能力が一皮むけたなと思うのは社会人になってからですね。
それ以外にもいろいろなイベントで発表させていただきました。

 

さて大学院を視野に入れたさい、当然大学院受験があります。
関西で集合論を学べて、今の自分でも合格しそうな大学院が1つだけありました。
数学基礎論・数理論理学系の研究室って、純粋な理学部数学科に配置されていることが少なくて、大学院受験するさいは数学以外の内容も勉強する必要があったりしました。
思い出してもらうと私は数学以外の理系教科でも赤点でしたから、そのような受験にチャレンジするのはかなり難易度が高そうだと判断しました。
私が目を付けた研究室も情報数理科学という学科に配置されていました。しかしここでは受験のさいに確かに情報系の教科からも出題されるのですが、
選択式になっていて、なんと数学系の微分積分線形代数・論理と集合だけで試験に臨めます。
ここの過去問を解いてみても証明が上手く書けない、つまりまだ完全にはεδ論法も理解できていないことが自分でも分かりました。
この時の自分にとって一番ためになったテキストが『論理と集合から始める数学の基礎』です。

 

ここからもう1つの天然エピソードですが、私は数学基礎論若手の会に参加した目的は
単にその世界を見てみるのともう1つ、その進学したい研究室の先生が参加すると知っていたからです。
確か事前にすでにメールでやりとりしていて、若手の会に参加するのを勧められていたような気がする(どっちが先かは忘れました)。
実は自分が普段から読んでいるテキストの著者が、そのメールしている先生だと半年くらい気づきませんでした。
当時の自分としてはテキストを書くような先生は、自分の周りではなくもっと遠くにいるようなイメージでした。
とりあえずその会で、その先生に初めて会いました。

 

4回生になりました。
大体の数学科では研究室配属があって、その中で数学科特有のセミナーが始まります。
自大学に所属したい研究室はありませんでした。
1回生の時に面倒を見てくれた先生は関数解析だったし。ただどこかに所属して卒業研究なるものをする必要があったので、
整数論の研究室に入りました。
そこに入れば完全数関係の比較的新しめの論文をもとにセミナーできるとのことだったので論文を読む練習も兼ねてその研究室にしました。

そしてなんと進学希望先の研究室のセミナーに参加させてもらえることになりました。
内容は数理論理学の基礎、一階述語論理でした。これのおかげで大学院からの集合論の勉強もスムーズに始められました。

よって4回生の時は別大学の2つのセミナーを掛け持ちしてました。
自大学では約数関数を用いて定義されるいろんな数の解析的整数論の論文(これはこれで面白かった)をじっくり読みました。

 

大体の単位は取れていたのですが、相変わらずのさぼり癖があって3つくらいの必修科目がとれていなかったです。
当時の理系は、理系用の一般教養で一定単位を取る必要があったんですが、それが取れていませんでした。
厄介なのがどれも1限目だったので、私がとった対策は学校に泊まり込むことでした。
あんまり推奨はされてないんですけど、当時の数学科には学部4回生用の勉強部屋があって、そこは夜間でも出入り自由でした。
その部屋とかを使って学校に泊まって1限目にでる作戦はほぼ成功(3回くらいそれでも遅刻した)し、単位はとれました。

 

あとは夏の大学院入試を受かるだけ。
落ちました。
すっかり受験というものを忘れてました。
夏募集と春募集があって、春募集で受かるチャンスにかけて、もう一度勉強のやり方を変えて春に挑むことにしました。


ここでもう一度微積分や線形代数の中にある定義を見直して、きちんと自分で書きだせるようになっていること、なるべく多くの過去問を解くことの2点を意識しました。
その過程で、手書きのまとめノートのようなものを作っていたのですが、ある日、先にでた勉強部屋にそのノートを忘れて帰ったら、それを誰かが一晩で全部コピーしてました。
2部コピーして、なぜか1部を置いて帰っていってたので、コピーされていることに気付けたんですが、いまだに誰が何の目的でコピーしていったのか不明です。
きっとそのまとめノートがよくできていたんでしょう。

 

再度の受験
結果発表がなんと卒業研究発表の日でした。
自分の発表が終わった後くらいに結果がその大学のHP上に公開されるといった感じで、無事卒業研究発表を終えても進学には失敗するという可能性がありました。
ですがそんなに世の中面白くなってなく、受かってました。
10年ぶりに合格の嬉しさを味わいました。

ここまでが学部時代までのお話になります。

 

④ その過程でなぜ集合論に興味をもったのか
さて最後の疑問ですが、すでに節々でそのきっかけが出てきていました。
まず1つが独立性証明の手法そのものが気になったからですね。
実際に自分に使いこなせるかどうかはわからないけど、使い方を学ぶと非常に面白そうだと感じたからです。

 

もう1つ、集合論に興味をもったきっかけが、先のまとめノートを作る際に、数学概念の定義を参照していくことをやっていたのですが、どうしても関数(写像)と自然数と集合以上に分解できない段階にたどり着きます。
しかしその時読んでいた本を信じるならば、「数学」は「集合」を用いて再構築できる、つまり自然数も関数も集合によって表現できるはずだと。
しかし関数はまだしも、自然数ってどうやって集合で表現するんだろう?
そして集合で表現できたことで何が数学者にとって嬉しいんだろうと気になります。そういうモチベーションを語ってくれるようなテキストを見つけるのが未だに下手なので、それがどうしても知りたくて集合論、ひいては数学基礎論・数理論理学に興味を持ちました。
それ以外にも数学基礎論・数理論理学では自分一人ではなかなか腑に落ちない事実・考え方がたくさんありました。

 

長くなりました、全ての疑問に答えました。
読んでもらえばわかる通り、非常に奇跡的なものに助けられて修士まで楽しく勉強を進めてこれました。
いや修士時代も楽しかったし、これからも楽しいですよ笑

挙げだすときりがないですが、
面白い番組があると教えてくれた両親(のどちらか1人以上)
高校数学がろくに出来ないのに数学科にねじ込んでくれた担任の先生
そんな学生のボランティアで高校数学を1年間教えてくれた教授
よその学生でもゼミに参加させてくれ、院からの基礎作りを手伝ってくれた先生(のちの師匠ですが)
他にも書いていないのも含めて学問系・それ以外にもたくさんの人から、自分のとりくむ姿勢もあったと思いますが、色んなことで助けてもらいました。
もちろんこれを読んでる人だって振り返ると、同じようなことを思い浮かべると思います。

 

 

当時は自分一人で精一杯だったけど、今ではここまで出てきたような誰かに自分もなりたいって思えるようになりました。

私が数学が「出来る」ようになったかどうかは分かりませんが、少なくとも数学に対して取り組む姿勢は形成できたと思います。

元数学最悪少年がここまでこれたのも、その時々に数学の魅力と向き合い方を教えてくれた人たちがいたからこそ。

これからの数学少年少女、いや数学に興味を持ってくれる老若男女に対して自分がこれから何が出来るのか見極めているところです。

こんな話はもちろん自分に余裕があるときにしか考えにくい話です。でももしこの先もっと自分に余裕が出来たなら真剣に取り組んでいきたいと思っています。

 

ということでおしまい。。
今度は『souji修士時代編』(仮題)でお会いしませう。