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いちロマンティストに密着(ロマ数プレゼン体験)

かなり前から下書きのままだったのだけれど、推敲する気になったのでやっと形になりました。

内容は、とあるイベントで(その時点までで)本気でプレゼンに臨んでみたというお話お話。
ネット上にはプレゼンター側、参加者側関係なく感想などを書いてあるものが少ないなと感じたので書いてみることにしました。
特にプレゼンター側に関しては貴重かなと思ってます。

参加したイベントは「ロマンティック数学ナイト」(以下「ロマ数」)というイベントです。
どういったイベントかはリンクを貼っておきます。

romanticmathnight.org


私自身は、何回も開催されているイベントのうちのたった一回のイベントで発表した身でしかありませんので、誤解を与えては申し訳ないのでもし初耳の方はまずそちらを見てみてください。
簡単に説明しますと、数学系に限ったプレゼン主体の交流系イベントで当初は都内のお酒を提供できるようなイベントスペースを貸し切り、プレゼンを聞きながら夜を楽しむといった趣旨でしたが、徐々に参加人数などが増えるにつれて、昼間にも開催されていました。
その後参加者に年齢制限を設けたり、性別を固定したりと参加者の様子は会によって異なりますが、大体は同じような形で開催されています。
主催は大人向けの数学教室の運営されている「和から株式会社」です。
基本東京をメインに開催されていて、そのイベントが大阪で開催されることになりました。
その情報を知りプレゼンターとして参加してみようと思ったところから物語は始まります。

参加動機

 

イベント参加時はまだサラリーマン(小さなパッケージベンダーのプログラマ)だったので、毎朝朝礼というものがあり、これは毎日1人ずつが簡単なスピーチをするというもので、オチは業務に繋がるようなものにすべしという暗黙のルールがありました。
どのようにオチをつけたのか忘れましたが、ロマ数というイベントを紹介し、ちょうど大阪開催されることを知った後だったので、無事に審査が通ればプレゼンターとして参加してみると社長含めてその時いた社員に話しました。
よって半ば朝礼のネタ作りとしてプレゼンしてみようと思いました。
その時点では申し込みをしただけで、プレゼンターとして受け入れてくれるとは確定してなかったので「受かったらいいな」程度でしたが、もし受かったら「単にプレゼンしてきたよ」だけでは朝礼の続編としても面白くないなと思い、もう少し動機を作ってみることにしました。

 

まず1つが目的・目標を持って臨むこと。
もちろんプレゼンする以上上記のことを意識するのは大切なんですが、どうも達成感のようなものがこれまでの多くのプレゼンの中で感じられていませんでした。
それは目標設定が曖昧だったからだと思います。
目標設定が曖昧だと気づいたのは内定者時代に教わった目標設定方法「SMART」でした。

bizhint.jp

これは目標設定する際に意識することをまとめ、その頭文字をとったもので、人によって定義は変わるのですが、
Specific(明確性) … 設定した目標は明確なものか
Measurable(計量性) … 目標達成率や進捗度を測定可能か
Assignable(割当設定) … 役割や権限を割り当てているか
Realistic(実現可能性) … 現実的な目標を設定しているか
Time-related(期限設定) … 目標達成に期限を設けているか

「A」と「R」はサイトや使用者(ビジネスマンなのかどうかとか)にとって変わるみたいですが、私の場合特に大事なのは「S」と「M」です。
例えば今までは何らかの数学分野を紹介する発表をするとき、単に「この分野を知らない人に上手く伝わればいいな」程度しか目標に出来ていなかったと思います。
これでは明確さに欠けますよね。もちろん初参加で初対面の人ばかりを相手にするプレゼンで明確な目標を作ることって難しいと思うのもあるんですが。
明確にするには「M」と組み合わせて数値目標にするのが良いと思います。
例えば「イベント進行の邪魔にならない」という消極的な目標をより明確化・測定可能化しようと思ったとき、
「プレゼンを発表予定時間の97%以内に終わらせる」とかしておけば、確かに進行を妨害してないし、自身のプレゼン時間を計っておけば測定可能ですよね。
なので、そのようなSMARTに則った目標を組み立てて実際に達成率を測定してみることにしました。

 

もう1つの動機は「非数学科、ひいては大学生以外に対してプレゼンしてみたい」というのがありました。
積極的にプレゼンイベントに足を運んだり、自分自身でプレゼンイベントを企画・運営してみたりと学生時代活動していましたが、よくよく考えてみると学生相手が多かったなと。またその専攻も数学系が大半でした。
参加しようとした今回のイベントは学生の比率は高いものの非学生の参加者も多く、数学に興味があればOKという敷居の低さから非数学科も多いと聞いてました。
なので動機に沿ったイベントということでプレゼンターとしての申し込みをすることにしました。

ちなみに100人を超えた人たちの前でプレゼンする経験も初めてだったので、これも良い機会だと考えてました。
部活の部長とかで100人以上を前にして何かを話すという経験はたくさんありましたが、何か話すことを事前に用意し聴講者も多様になる機会は初めてでしたし。

申し込みから目標設定まで

 

イベント開催日と会社の毎年恒例BBQ大会がもろ被りしてました。
イベントが難波で昼から15時くらいまで、BBQは二色の浜のヨットハーバー(社長がヨット好き)で昼から。
なので会社には遅れていくことを伝えておきました。
多分いつものようにたくさんお酒飲むだろうなと思っていたので遅れていくと少しは飲む量減らせれるかもという淡い期待も(裏切られたけど)。

申し込み段階でどのような内容のプレゼンをするのかを書く欄があり、どれにするか悩みました。
多いのは初等整数論系だと思ったので、そちらはナシ。

また事前に発表時間が短いことも知っていたので集合論系の話題も断念。
また申し込み段階で2か月前くらいだったので、プレゼン準備を考えても新規のネタを用意するのも難しいと判断。
よって修士時代の研究テーマ、無限帽子パズルを選定。これなら内容次第では5分でも収められると判断しました。

 

申し込みしてからn日後、申し込み時に書いた電話番号に電話がかかってきました。
内容は、もう少し具体的にプレゼン内容について教えてほしいというのと、過去のプレゼン経験などを聞かれました。
このとき電話をかけてきたのは「和から株式会社」の方で、イベント後にお話ししたさいに聞いたのは、この電話を通して顔も知らないプレゼンターについて探るためだったそうです。
非常に良いと思います。

通常のイベントよりも規模も大きく、集まる人が多様なのでイベントを成功させるためにも事前にプレゼンターについて知っておこうとするのは良い試みだと思いました。実際、自分が似たコンセプトのイベントをやったときも同様の事前調査をやってましたし。
たしか電話がかかってきたときは日曜のお昼くらいで、昼から酒を飲んで気分良くなってました。
電話がかかってきたときは知らない番号で、おそらくロマ数関係だろうなと思って電話に出るとその通りでした。
ここは「そちらのイベントにとって良いプレゼンをすること」をアピールすべきだと思い、プレゼンの難易度を聞かれた際には「過去の経験から如何様にでも難易度(数式の出る頻度とか)を調整できること」を特に主張しました。
これをアピールしたのは、こういった学問系プレゼンイベントにとって難易度調整は死活問題で一番主催側がコントロールの難しいことですから、それを主催側に合わせて難易度を調整、しかもその調整が絶妙(数学者が「簡単」といっても簡単でないことが多いように)なプレゼンターは重宝してくるはずだと。


こういったイベントでは、数学好きが聞きに来ることを意識しすぎて、つい難易度を上げたり、内容を多くしてしまうプレゼンターが多い傾向があるので、その点でも
いくらでも難易度を下げてくれる人(これで面白かったらなお良し)は貴重だと思います。
なので電話に出た瞬間から酔っていた頭が急に冴えて、ペラペラと上記のようなことをアピールして電話は終わりました。
ちなみにこの電話審査?で落ちたことも何名かはいたようです。理由としては電話でさえ上手く意思疎通が出来なければプレゼンを任せることは出来ないと判断されるということでしょうか。
やはり規模が大きなイベントになると、質を上げるための足切りもあるんだなと思いました。

 

そして電話から何日か経って、プレゼンターとして採用された旨のメールが届きました。
それから何日かして、発表順はトップバッターであることも教えられました(たしか採用とはタイムラグがあったはず)。

受かってから本格的に目標設定に移りました。
大枠は聴講者に帽子パズルに興味を持ってくれることとしましたが、もう少し具体化することに。
でもプレゼン内容に興味をもってくれたことをどう判断し測量すればいいだろうと悩みました。
プレゼンを聞いて笑ってくれた人を数えるとかは、少人数ならまだしもただでさえ難しいプレゼンをしているときに100人以上の同時に見て計測するのは不可能に近いしなぁ。
私の目がサーモグラフィーのように温度を見れるなら、関心を示したときに温度が上がる部位を見て、それがプレゼン前後で上昇した人を数えるとか。
冗談半分なものも含めて、どのように数値目標にするかは悩みました。
最終的には、以下の人数をイベント終了後3日間集計し合計が50人を超えることとしました。

  • 当日の参加者のツイートや他SNSをサーチして、ポジティブな感想を述べている人
  • 当日の歓談タイムで私のところに集まってくれた人
  • そのあとに私に自発的にコンタクトをとろうとしてくれた人

目標設定と前後して、ロマ数について調べていたら当日はTwitterハッシュタグを利用していました。
それを上手く使えば興味を持ってくれた人の集計に使えるのではないかと。あとはハッシュタグ付いてないけど感想をつぶやいている人やブログなどに書いた人を頑張って探して集計することにしました。
自分からすれば、わざわざポジティブな感想を書いてくれる人は興味を持ってくれたと判断して良いだとうと思いました。
もちろん感情表現のハードルは人それぞれなのは承知してますが、そこまで踏み込むと目標がいつまでも定まらないので。

また全プレゼンを二分して、その間に歓談タイムを設けることも知ってました。
イベントのスムーズな進行のため、プレゼン後の質疑応答は無しになっていて、その代わりに用意された歓談タイムがあります。
これは会場内に発表者ごとのスペースを用意して、そのプレゼンターのところにいって何か質問できるという形式です。
自分も含めて何人かがプレゼンした後の歓談タイムですから、参加者からすれば興味をもったプレゼンターのところに集まるはずです。
なので私のスペースに集まってくれた人を数えることにしました。

引っ込み思案で大勢の中で私に話しかけられず、後から何らかの手段でコンタクトをとってくれる方もいるかもしれません(実際いた)。
後から分かったのですが、会場が人数に対して少しキャパが足りていなかったので、単に歓談タイムにこっちに寄ってこれなかった人もいたし、何人かのプレゼンターを回っていて私に時間を割けなかった人など原因はどうあれ、その後に連絡くれたということはプレゼンに興味を持ってもらったと判断してよいと思いました。

これらの人数を3日間集計します。
もしかしたらストーカー対策でイベント参加したことをつぶやくにもタイムラグをつける人もいるかもしれませんが(いるのかな)、集計しだすとキリがないので3日間としました。

そしてそれらの合計人数を50人としたのは、参加者が150人くらいと聞いていたので4分の1以上には興味を持ってほしいということと、もしかしたら各条件を同じ人が重複している可能性があったことからきり良く50人としました。

これで数値目標を設定できました。
もちろんそれ以外の方法で興味を持ってくれた人の人数を数えることも出来たかもしれませんが、それは達成率を図ったあとの反省会ですべきことだと思ったので、これ以上は深く考えませんでした。

 

プレゼン作りとその他準備もろもろ

 

さて、一番大事なスライド作りです。
自分史上一番の具体的な目標を持ったスライド作りでしたが、楽しかったです。
まずは楽しんでもらうこと、そして興味を持ってもらうことを前提に置きます。そのため参加者の様子を知るための過去のロマ数の感想などを調べました。
私の調べ方にも寄りますが多かったのが「内容は難しくてよく分からなかったけど面白かった!」みたいな感想が多かったです。
これは主催者側を傷つけない配慮のある感想だと思いました。
内容がよくわからないプレゼンも1つ2つなら何とかなりますが、聴講者にとってそのようなプレゼンが続いたと予想しました。
そのようなイベント構成だったからこそ、そのような感想が生まれたのではないかと。
また分かりやすかった、終始聞いていられたというプレゼンは数学と「とっつきやすい何か」を混ぜたプレゼンが多かったのではないかと。
事実HPの過去のプレゼンターの中には、稀有な経歴の方もたくさんいらっしゃったので。
私としては狙いは、ありがちなプレゼンの逆をつくことで、目標を達成することでした。
「難しくてよくわからなかった。。。」とならないようにするには、なんとなくでも話についてこれ、ところどころ想像が追い付かないけどすごそう!と思わせるしかありません。
そしてこちら側が、聴講者を楽しませようと意識していることが伝わるようにすることも大事かなと思いました。
抽象的な取り組みは上記のような感じで、具体的に何をしたかを書いていきます。

  • プレゼンテーションツールの選定
  • ところどころに笑いを
  • 後後のため若干の隙を作る
  • 文字の使用をなるべく控える
  • 発表順を意識
  • リハーサルの徹底

個別に書いていきます。

 

  • プレゼンテーションツールの選定

まずプレゼンテーションツールの選定ですが、迷うことなく使い慣れた「prezi」にしました。
これは従来のスライド式とは全く異なり、1枚のポスターを作って、そこに視点を変える順番を設定して見せていくプレゼンが作れます。
もちろん、スライドをアップロードして視点を横にずらしていけば普通のスライドっぽいプレゼンを作ることも可能です。
実際のスライドをあげておくので参考にしてください。

http://prezi.com/fjh4bhiypo8n/?utm_campaign=share&utm_medium=copy&rc=ex0share

本名がもろにでてるけど申し込みも本名でやっちゃったし、サイトにも載ってるしもういいやって。


このツールは短期決戦のプレゼンに向きます。逆に30分を超えるプレゼンだと、その動きの珍しさが薄れて、下手に作ると見づらさだけが目立ってしまいます。
私はこのツールで60、90分のプレゼンも作り、勉強会のようなお堅い場所でも使用したことがありますが、preziの持つ特徴は、話題の構成に則った説明をするときにのみに使い、基本はスライドのように進めました。
あとは単に数式を表示する能力が低いので、数学的な内容をだすためにtexで一通りスライドを作って、それをpreziへアップロードして並べて表示してました。


ただ今回は5分という短期決戦プレゼンで、しかも目標のためには数式も使う必要がありません。
なので、このツールの本領を発揮できるのはないかと考えました。


スライド送りする道具を自前で用意しました。

コクヨ パワポ操作用 フィンガープレゼンター 黒曜石 ELA-FP1】

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B3%E3%82%AF%E3%83%A8-%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%9D%E6%93%8D%E4%BD%9C%E7%94%A8-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC-%E9%BB%92%E6%9B%9C%E7%9F%B3-ELA-FP1/dp/B00D63BIAO/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1533276022&sr=8-1&keywords=%E9%BB%92%E6%9B%9C%E7%9F%B3+%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BC%E3%83%B3

これは指輪型なので目立たず、手を大きく使える(実際使えてたかどうかはわからないんですが)。
そしてスライドを送る動作を見せないので、スライドそのものに集中させることができます。
もしレーザーを必要としない方ならば購入を検討してもいいかもしれません。

 

  • ところどころに笑いを

聴講者を楽しませようとしていることを意識していることを伝えるには実際に笑いをとりにいくのがいいと思いました。
これはプレゼンのテクニックの1つとしてよくでてくる「つかみ」となるジョークなど入れるものと同じ。
これはスベってもいいんです。
とにかく非数学的な内容で、これから面白いプレゼンを作ってきたということが伝わるようなものを準備しました。
一番いいのは当日の出来事などを使って簡単なジョークを用意することですが、
私は緊張するタイプなのでそのような賭けにでることはせず、事前に作っておきました。スライド中の最初にあるデタラメアンケートがそれになります。
あとはネタを3つほど仕込んでおきました。これはスライドを見てもらえばわかると思います。

 

  • 後後のため若干の隙を作る

プレゼンの構成としては、有限版の一番オーソドックスなパズルのルールを説明し、
いきなり無限へ拡張して有名な定理を1つ紹介する、そして帽子パズルの研究方法と、
研究として盛り上がっていることを伝えるといった4段構成です。
この4段構成の中で適度の説明を省き、省いたことを伝えて、それは後の歓談タイムで聞いてくださいと何度か言いました。
この「続きはWEBで」のようなやり方は目標の人数を達成するための作戦です。

あとは単純に何度リハーサルをしても時間が足りなかったんです。
オーソドックスなパズルのルールは、これが分からないと無限へ拡張しても楽しめないのでなるべく少ない言葉数で説明することにしました。
またいつもはパズルの勘所を伝えることで、無限拡張のさいに驚きを増やす方向でいくのですが、このときは勘所の説明は省きました。
そしてパズルの結果だけを述べて、解法は省きました。

結果さえあれば無限の話をするさいには十分でした。
そしてある程度の数学経験者がひっかりそうなワード(可算、選択公理連続体仮説)をいくつかスライドにちりばめておきました。
これも目標達成のためで、現代数学へつながるようなワードを入れておかないとワクワクしないだろうと考えたからです。

 

  • 文字の使用をなるべく控える

帽子パズルは変数が多いです。囚人の人数、帽子の色の数、帽子の見え方、発言の順番、勝利条件、各囚人の戦略。
自分の修士論文では、それらを一言で表せるようなものを用意してましたが、それを定義する時間もありませんから、そういう設定のパズルをやっていることを絵的に伝えるよう努力してみました(絵心欲しかったな)。
そして数式は1つも登場させていません。
またスライドが完成すれば、一度リハーサルしてみて、口で説明した方が早そうならスライドから削除していきました。
なので同時進行で原稿も作っていき、文字数を出来るだけ減らすことに努めました。

 

  • 発表順を意識

このような作戦で行くと発表順も意識する必要があります。
もし私の前に振り落とされるプレゼンが続いて、私が最後まで楽しめるプレゼンをすれば目標達成は楽になると思います。
しかし、どのような方がどのようなプレゼンをするかは当日まで分かりません。
今回は幸運なことにそんなことを一切気にする必要のない(というかできない)トップバッターでした。
なのでそれを活かすテクニックは思いつきませんでしたが、気持ちとして

  • 後発のプレゼン全てを台無しにするくらい完璧なものにしてやろう
  • トップバッターということは会場の空気作りに関わる。
    これから面白いプレゼンが続くことを予感させるような内容にしよう

という感じで自分を追い込みました。そのおかげで上記の取り組みも思いつくことができたし、十分な準備ができたと思います。

 

  • リハーサルの徹底

これはどんなプレゼンの指南書にも載ってますね。
今回は5分ということで通しで練習することも用意なのでかなりの量練習しました。
そして本番3週間前にはスライドと原稿を完成させておいて、友達に披露して意見を貰いました。
この友達がかなり鋭いツッコミやアドバイスをくれたので非常に助かりました。
彼には事前に、上記のような目標を立ててプレゼンすることを伝えて、それが達成できそうかどうかを検討しながら聞いてもらいました。
結果、パズルのルールを最低限に増やし方と、食いつきそうなところを教えてもらい修正しました。
そして時間を計って、かなり細かくいらないところを削る助言ももらいました。
また私は、本番では話すスピードが遅くなる傾向があることも伝え、ある程度時間が余るよう意識して意見してくれました。
そのおかげで、スライド、原稿ともに良いものが出来上がり、あとは何度ボタンを押せばどのようなものが表示されるか分かるくらいに練習しました。
このpreziはアプリもあって、iPhoneでプレゼンを見ることもできます。
当時はサラリーマンだったので、電車を使わず徒歩で1時間半くらい徒歩で帰りながら、何度も原稿を読んでました。
多分道行く人からしたら怪しかったでしょうね。
前にどこかで指南書でお風呂でリハーサルするのがおススメと書いてありました。
理由は音漏れがなく、(防水スマホでない限り)スライドを見ることが出来ないので原稿暗記の練習にもなると。
自分の場合は歩いている方が頭が働きやすいので、帰り道で練習してました。

それにそこまで大声でなければ迷惑にもなりませんし。
とにかく不安がなくなるくらいには練習できました。

当日


長い一日でした。
プレゼンターはお客さんの会場入りのさらに1時間前に集合でした。
なんばは歩きなれているので迷うことはないと思ってましたが、ウズウズしていてかなり早めに家を出ました。
南海駅あたりで朝ごはん食べて、その最中もモグモグしながらブツブツと練習。
会場には迷惑だったかもしれませんが早く着きすぎてしまいました。
係の方とあいさつし、何人かは何度かお会いした方もいたので少し話してました。
そしてプレゼンターが全員そろった段階で打ち合わせと機器チェック。
打ち合わせでは、撮影を許可するかどうかも聞かれました。
preziは基本オンラインで編集・プレゼンするのですがダウンロードもできます。
ただ互換性に自信がなかったので、マイPCを持ち込むことにしました。
prezi使用者はダウンロードしてマイPCを持ち込むことをおすすめします。

 

そして開場し、参加者がたくさん入ってくる。
当日のプレゼンの様子は以下の公式サイトで見れます。

https://wakara.co.jp/mathlog/20170519

プレゼンの前後のことはよく覚えてません。
ただ原稿通りに話せたし、用意したオチも(たぶん)受けました。
これだけ用意しておけば、もはや本番は消化試合です。
あと自分は本番がリハーサルよりも話すスピードが遅くなるというのも的中し、時間は制限時間の枠内にうまく収まりました。
そのあとは他のプレゼンターも後学のためしっかり観察してました。
最初の6人が終わって歓談タイム。
私の周りにも人が集まってきてくれていて、質問に答えていきました。
予想通りプレゼンに用意した隙から質問してくれました。
予想外の質問は少なかったですが、それはこちらが上手く聴講者の感想をコントロールできたことだと開き直りました。
あとは目標のため人数を数えてました。
会場が狭かったのでこちらに興味がない人も傍にいたので数え上げに苦労しましたが、話を聞いていそうに見える人を数えていきました。


そして後半組のプレゼンが続き、2つの飛び込みプレゼンを経てイベントは終了しました。
参加者として来ていた何人かの知り合いへあいさつをして、早々にBBQへ向かうため電車に乗りました。
イベント開始前に面識のあった「せきゅーん」さんとLINE交換してました。
なので打ち上げがあった場合は連絡もらう約束してたので、安心して出発できました。

 

1時間くらいかけてヨットハーバーに着いて、いきなりの乾杯ラッシュ。
そしてスーツを着ていることをいじられて(なんとなくスーツでプレゼンしたかったので、そのためにシャツとかも新調してました)。
もともとお酒飲めるキャラだったので、かなり飲みました。
ただ肝が小さいので、こういう緊張することがあった日ってごはんがのどを通りづらくなります。
なので食べ物はほとんど手を付けなかったですね。

せっかく取引先のスーパーから美味しいお肉をたくさん提供してもらっていたのに。
このBBQは会社の毎年恒例行事で、泊まって1日中酒飲んだりもするんですが、ちょうどいいところでスッと抜けてきました。
前年は泊まって社内外の人とお酒飲んでたですが、今回は感想の集計という仕事があったので。
このスッと消えていなくなる技術は意外と大事な気がする。どう大事かは説明できないけど。

なんばに戻ってきてせきゅーんさんに案内してもらって打ち上げ会場へ(たしか2次会だったかな)。
プレゼンター、運営、参加者混ざっての打ち上げでした。
色んな感想を聞かせてもらって、特に仕事として数学に携わっている方からは(営業トークかもしれませんけど)かなり褒めてもらって嬉しかったです。
運営側の方からも話をたくさん聞けてイベントを作る側としての話を聞けたのも良かったです。
1日にあまりに多くの人と話すと疲れてしまうタイプなので、飲み足りなかったですが打ち上げ終了前にお店からは出ました。
よく行く難波の立ちのみ屋さんで、聞いた感想や思ったことをメモしながら1人「生しらすのお造り」を食べハイボールを飲んでました。
次の日は1日中寝てました。
そのあとハッシュタグなどを追いかけ、何人の方からはメッセージが来ていたのでそれに答え、集計作業を行いました。

結果と感想


楽しみな結果ですが、50人という目標に対しかなり厳しめに集計して38人でした。
悔しいですが、数値目標設定の良いところは、失敗の度合いが身に染みて分かるところです。
この結果からはあと12人増やすためにどうすれば良かったのかを考えることができます。
思いついた敗因は以下の2つ

  • 会場の狭さを事前に知ることができたのにやらなかった
  • イベント後の連絡手段をTwitterにしたこと

1つ目の理由ですが、会場の広さは私ではコントロールできることではないです。
会場が狭かったことで、集計の際に使用する私の周りに集まる人は少なくなります。
50人の配分も事前に考えたのですが、見事に歓談タイムの集まる人数を多めに設定していました。
開催場所を知っていたので下見は可能だったはずです。
下見をしていれば、歓談タイムで集められる人数が少ないことを悟って、2つの選択肢が生まれたはずです。
1つは目標を下げること。今回の目標不達成の理由は目標設定が悪かったことに起因します。
目標達成するために、目標を見直すことも1つの手だと思います。
なかなか会社ではやらせてくれない選択なんですが。
もう1つは目標そのままに他で挽回させること。
これに気付ければ敗因の2つ目に対しての対策をとっていたかもしれません。


イベント後の連絡手段として利用したのが、当日の実況でも使用されていたTwitterなんですが、これはアカウント持ってないとやりとりできないんですよね。
Twitterにいるとつい全世界の人間がアカウントを持っていそうな錯覚に陥りますが、
ロマ数はTwitter以外の媒体(テレビでも紹介されている)でも宣伝されているため、Twitterを経由せず参加申し込みした方も多かったはずです。
少しプレゼンとは離れますが、個人HPを作っておいて、そこにメルアドなどの連絡先を記載する。
そして帽子パズルに関するコンテンツ(例えば修士論文の要約とか以前の勉強会のスライドとか)を置いておき、そのような後学のための情報があることをプレゼンの中にさらっと潜り込ませておく。
そうすれば少しでもコンタクトをとるための障壁を減らし、また情報を与えることでプレゼン後の満足度も上げれたかもしれません。

 

感想としては
初めての戦略的な試みでしたがかなり楽しかったです。
そして社会でも要求される「数字で考える」という技術の良い練習になりました。
結果は残念でしたが、それによって上記にように反省点もあげれますし、同様のイベントに出る際の目標設定の役に立ちます。

 

他のプレゼンターの話をするならばやはりせきゅーんさんの発表が良かったと思います。
彼のプレゼンは、このイベント以前に2回聞いたことがあり、1度は「関西すうがく徒のつどい」で、もう一度は私が企画運営していた「学問分野を知ろうの会」で、です。
その2回は60分以上のがっつり数学系のプレゼンでしたが、話の進め方が上手く前提知識のなくとも数学に興味があれば楽しめるようなプレゼンでした。
そのようなプレゼンを作れるのは、場数と彼が背景にもつ知識の多さだと思います。
知識が多ければ情報量の選択や、提示する深さの調整が難しくなると私は思っているのですが、彼はそうなることが少ないと感じました。
しかし、そのような彼でも5分という発表時間でも同じようなクオリティのプレゼンを作れるのかどうかは分からなかったので、楽しみにしてましたが、相変わらず上手かったです。
彼に確認をとったわけではないので、本人がそれを意識していたかは別ですが、(勝手に比較してすみません。。。)私が削るタイプの作り方ならば、彼はその逆の情報量で押しまくる作りでした。
例え方としては不適切かもですが、映画の予告を見ているような感じ。
私が5分で収まる物語を作ったのに対し、もともと面白い120分映画を作っておいて、そのエッセンスを抜き出した5分の予告を作ったというか。
これが出来るのは、もともと120分あっても終始楽しませられる数学の知識量と経験があるからで、これには敵いっこないなと思いました。
もちろん分野も違いますし、5分に向く数学のテーマも様々なので、同じ土俵に立つのは難しいかもしれませんが、いずれ実力をつけて集合論系の5分で面白い発表にチャレンジしてみたいです。
もちろん無限帽子パズルも十分公理的集合論の話題ではあるのですが、また違ったもっと王道の集合論のプレゼンが出来るようになりたい。

 

あとはイベントのシステムに対して少しモヤっと感じた点を2つほど。
私も同様の学問系プレゼンイベント主催経験アリの身として書いてますが、主催したイベントの規模(かけたお金、参加者数、広告費など)や開催回数で比較すると私はかなり下の立場なので、素人に毛が生えた程度の意見ということを前提に読んでください。


1つは男女で参加費が違う点。

イベントごとで値段設定は異なるみたいですが、この元祖ロマ数は2018年8月開催のものでも男女で値段が変わるみたいです。
もちろん記事公開後のn回後のイベントで変わるかもしれませんが、少なくとも私が参加したときも、男女差はありました。
値段はこんな感じです。
大人男性 3500円
大人女性 2500円
学生男性 2000円
学生女性 1000円
高校生以下 無料
公式サイトには、その理由も以下のように書いてありました(おそらく問い合わせがあったのでしょう)。

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うーん。。。分かる気もするけど。
学生と社会人なら収入差があるので値段が変わるのは分かるんですよ。

でも同じ身分の男女で値段が違うのってどうなの。
100歩譲って大人の男女で値段が違うのは分かるんですが、学生の男女で値段が違うのはなんかおかしいと思います。
これって数学を布教するためのイベントであって、男女の出会いを促進するためのイベントではないはず。
仮に100人全員が数学好きの男で集まって何が悪いのかなぁと。
そういう風に男女関係なく盛り上がるからこそちゃんとした女性数学人口も増える気がするんです。
それに本業の数学教育事業のことを考えても、値段が高くても文化的価値の高いものに投資できる女性(もちろん男性も)を増やすことが会社のためになったりするような気がします。
もちろん、これだけ大きなイベントだと大きなお金が動くので私の考え方とはまた違う部分があると思いますが、どうも腑に落ちない部分でした。
あと女性を安くするために男性を高くすることでバランスをとっているなら、男性側としても「なんで来るかどうかわからない女性参加者のために多く支払わなくてはいけないの?」となると思います。
女性限定のロマ数もあるみたいなので、それなら良いと思います。

 

もう1つは飛び込みプレゼンの存在。
コレいるのかなって思います。
これは当日の参加者の中から希望者を募って、2人ほど即興でプレゼンさせるものです。これはプレゼンターの立場的にはどうでもいいですが、選考に落ちたプレゼンターと参加者の立場からするとモヤっとします。
私は幸いにも選考に通りましたが、何人かは審査でお断りされてます。
その人からしたら、なんで私が落ちて当日そこにいただけの人がプレゼンできるの?っと思いませんかね。
ようはあの舞台に立てる人の基準がブレてるように見えます。
もちろん即興で面白い話を出来る方はたくさんいるので、それでイベントを盛り上げるってのはいいんですが、今後どれだけプレゼンできる人を集められるかが重要なはずなので、プレゼンターから不信感を抱かれるようなことは避けた方がいい気がします。
私はこのイベントでお金をもらってもないし、参加費を払ってもいないので3500円の参加費を払ったと思ってこの取り組みについて考えると、なんでお金を払って準備不足のプレゼンを聞かなくてはいけないのかなと。
これが参加者もプレゼンターも平等の有志の数学同好会ならば、どれだけ他人が準備不足でも気にならないですが、仮にお金を払ってもらい楽しませるイベントならば、そのプレゼンの面白さを担保できない取り組みは避けるべきじゃないかなと。
もちろん運営の方にその場で人を見極める能力があるならば、これまで同様今後も問題にはならないと思いますが、当日飛び込みプレゼンを聞いていてなんとなく思ったので書いてみました。

今後の人のために


今後参加してみようかなって人と、同様のプレゼンをやってみようかなって人に向けて何か書いてみます。


まずは参加してみようかなって人へです。
このイベントは今現在の数学系プレゼンイベントとしてはほぼ一番に規模の大きいものです。
10を超える様々な種類の数学のプレゼンを聞けるイベントは他にありません。
数学の世界を覗いてみたい、自分が知らない数学を知ってみたいという方にはおすすめです。
ただプレゼンを通しての理解度に関してはそこまで期待しないほうがいいと思います。
プレゼンターは謝礼を貰っているわけではないのでプロではありません。
私はプレゼンが好きだから無償で参加したわけですし、他には自分の活動の宣伝をしに来ている人もいます。
なのでプレゼンは各自の自己紹介の一貫だと割り切って、面白そうなプレゼンターがいたら歓談タイムなどでドンドン絡みに行くといいと思います。
私自身イベント当日に歓談タイムから仲良くなった方と、帽子パズルについていくつかメッセージをやりとりしていく中で発見があったりしたので、そういう意味では良い機会だったと思います。

 

ロマ数に限らず、数学系の5分プレゼンに挑戦する方へ何か書いてみます。
まず、そもそも興味ない人・興味はある初級くらいの人・中級・上級が混ざっていれば全員が楽しめるような学問的発表は不可能です。
ちなみに数学に級位はないので、ここではなんとなくで読んでください。
なのでもし参加者の比率が事前に分かるならば、その比率に合わせて難易度を調整するといいと思います。

5分プレゼンではとことん削るか、とことん盛り込むかのどちらかした方がいいと思います。
前者は分かりやすさ重視、後者はエンタメ重視でしょうか。
後者は「そもそも興味ない人、興味はある初級くらいの人」が多い場合スベる可能性が高いです。
それでスベらないせきゅーんさんがすごいだけです。
なのでより多くの人に確実に楽しんでほしいなら、なるべく削っていった方がいいとおもいます。
削り方ですが、数式、数学的定義はテーマとなるものをしっかりやり、それ以外は雰囲気や直感的説明にしておくほうがいいです。
そのような説明の仕方は、普段定義定理を重ねていっている方からしたら、目隠しして綱渡りをしているような感覚になるかもしれません。
こんな薄い内容で数学好きは楽しんでもらえるかな?と不安になるかもしれませんが、それくらいの方がバランスとしては良いと思います。
分野・テーマによっては5分プレゼンに向かない数学もあると思います。
なので自分の話したいことが最大限定義定理を削ったときに数学プレゼンとして逸脱しそうなら、いっそのことテーマを変えて方がいいかもしれません。

後者のエンタメ重視のプレゼンは自分自身も最近になっていくつか挑戦した身なのでそこまで偉そうなことは言えないですが、分かりやすさ重視以上に話の筋道をはっきりさせます。
5分間、内容は分からなくとも、どんな順序で話しているかは分かるようスライドを作ります。
このときpreziだと分かりやすくできるんですが、一般的なスライドではどうすればいいのかは思いつきませんでした。
またこのときは数学的内容はドンドン入れていくべきです。
内容の広さで勝負すると面白さはあがるかもしれません。
数学好きは「わからない」感情を楽しめる方が多いです。その人たちが存分に楽しめるよういろんな話題をぶっこみまくりましょう。

 

ざっくりとした話で申し訳ないですが、超完成度の高いネタでも聴講者によってウケるウケないは変わるので絶対的なことは言いにくいです。

でもだからこそ一回一回が真剣勝負になるのでプレゼンテーションは楽しいのだと思います。